富沢町(読み)とみざわちよう

日本歴史地名大系 「富沢町」の解説

富沢町
とみざわちよう

面積:八八・二九平方キロ

郡の最南端にあり、富士川および篠井しのい山を境として北は南部なんぶ町、東は静岡県芝川しばかわ町、南は静岡県清水市、西は赤石あかいし山系を境に静岡市に接する。南部町との境を富士川が流れ、それに沿って国道五二号が走行する。福士ふくし川は篠井山・田代たしろ峠に源を発し、町内を東流して富士川に合流する。県内でも高温多雨の地帯で、そのため樹木の生育がきわめて良く、福士川沿いの山腹には檜や杉の美林が広く発達している。町総面積の八割強を山林が占め、耕地面積はきわめて狭く、そのほとんどは富士川沿いの段丘上に集中している。そのため農業経営は小規模で、林産業を主たる産業とする。国道五二号には甲府市―静岡市間を結ぶバスが運行しているため、静岡市方面への工場通勤者も多い。町名は富河とみかわ村と万沢まんざわ村の合併に由来する。

富士川左岸の標高一三〇メートルの河岸段丘上に旧石器時代の天神堂てんじんどう遺跡があり、焼けた礫群がまとまって発見された。周辺にも旧石器を出土した遺跡が集中し、県内でも旧石器時代遺跡が多い地域として注目される。律令時代の当町域は巨麻こま川合かわい(和名抄)に属していたといわれる。中世の在地領主については定かではないが、鎌倉時代末期のフクシ(福士)は南部郷の内に含まれ、ここで行われた塔供養に波木井実長が関係しているから(「日興置文」興尊全集)、波木井(南部)氏の勢力下にあったと思われる。


富沢町
とみざわちよう

[現在地名]中央区日本橋富沢町

長谷川はせがわ町の東に続く新乗物しんのりもの町通の両側町。北は弥兵衛やへえ町と元浜もとはま町、東は浜町はまちよう(堀沿いの河岸地は西緑河岸)、南は高砂たかさご町。寛永江戸図には吉原よしわら(元吉原)の北隣、大門おおもん通を挟んでのちの長谷川町である「ねき町」の東隣に「おハり町」とある。明暦三年(一六五七)の新添江戸之図にも「をわり丁」、明暦大火と吉原移転後の寛文新板江戸絵図には同所に富沢町と記されている。慶長(一五九六―一六一五)の頃幕府が鳶沢某に給した地で、当初は鳶沢とびさわ町と称していたのを富沢と改めたという(東京府志料)。江戸開府後、召捕らえられた鳶沢という盗賊の長が盗賊取締協力を条件にとくに罪を許された際、以後の生業として古着商元締を許され、当時の吉原近くに地を与えられ、葭原を開いて居宅とした。


富沢町
とみざわちよう

[現在地名]中区にしき三丁目

下七間しもしちけん町の南、住吉すみよし町の北にあり、伝馬てんま町筋と広小路ひろこうじとの間の四丁をいう。慶長一六年(一六一一)清須きよすより移った。初めは清須の馬持が居住したので伝馬役七間てんまやくしちけん町と称したが、貞享三年(一六八六)五月、伝馬頭の支配を離れ、新たに町代役が置かれたのを機に松本まつもと町と改称。その後、三代藩主徳川綱誠の女磯姫が松姫と改名したため、藩から「松」の字を避けるよう命じられた。材木屋が多いところから町名を東材木ひがしざいもく町ではどうかと願ったが、許可されなかった。


富沢町
とみざわちよう

[現在地名]宇和島京町きようまち桜町さくらまち御徒町おかちまち佐伯町さえきまち一丁目

御典医富沢氏の屋敷があったので、この町名がついたという。たに横丁よこちようという地名もある。東南神田じんでん川、北西はさくら町に接する。

文久二、三年(一八六二、三)頃の城下町絵図によると、一七軒の上士の屋敷が認められる。東に勧進かんじん橋があり、昔はこの付近まで舟が遡行できたという。


富沢町
とみさわちよう

[現在地名]余市郡余市町富沢町・沢町さわまち梅川町うめかわちよう港町みなとまち

明治初年(同二年八月―同六年の間)から同三三年(一九〇〇)まで存続した町。沢町の北に続く市街地で、梅川下流域に位置し、当地でヌッチ川が海に注ぐ。明治五年沢町から分立(余市自治発達史)。同六年の「後志国地誌提要」に富沢町とあり、戸数一八戸(すべて平民)・人口五九。同一二年の「共武政表」に戸数四三・人口一六四。同一五年小樽警察署余市分署が設置される。


富沢町
とみさわちよう

[現在地名]函館市海岸町かいがんちよう

明治七年(一八七四)五月の渡島国大小区更正計画の際に第一大区一五小区の町として確認される(開拓使公文録)亀田かめだ半島と函館山を結ぶ陸繋部、海岸町の裏手(東側)に位置する。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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