普及版 字通 「禺」の読み・字形・画数・意味


9画

[字音] グ・ギョウ
[字訓] おながざる

[説文解字]
[金文]

[字形] 象形
おそらく頭部の大きな虫の形であろう。〔説文〕九上に「母猴の屬なり。頭は鬼に似たり。(し)に從ひ(じう)に從ふ」とする。〔説文〕は爲(為)字三下に「母猴なり」、(どう)五下にもまた「母猴なり」とするが、爲は象を使役する形、神像の形。禺を母猴の象とするのは、〔山海経、南山経〕の〔郭璞注〕に「猴(びこう)に似て大、赤目長尾、今も江南の山中に多くり」としており、その解はひろく行われていたのであろうが、字形に即していえば、蛇形のものが相交わる形であったと考えられる。禺(ぐちゅ)は東海の海神、禺彊(ぐきよう)は北海の海神とされるもので、おそらく竜頭の神であろう。字形の近い禹も、二竜の交わる形である。

[訓義]
1. おながざる。
2. 寓と通じ、よせる。
3. 隅と通じ、すみ、はて、区域。
4. と通じ、魚の名。

[古辞書の訓]
〔字鏡集〕禺 サルマロ・ハハサル

[声系]
〔説文〕に禺声として(遇)・寓・偶・・愚・隅など、十六字を収める。大頭の貌を示すが、禺の初義を存するものであろう。そのような神怪の居るところが嵎、その祀るところを寓といい、神怪のものに遭遇することをという。相偶する意は、禺の二虫相交わる意を承けるものであろう。

[語系]
禺・・寓・隅・嵎ngioは同声。禺はおそらく大頭の然(ぎようぜん)たる神異のものの形で、山の隅隈(ぐうわい)に住み、その神気にまれに遭遇することもあった。は晤nga、ngea、ngakに近く、みな神異のものに遇って驚く意である。

[熟語]
禺淵禺強禺疆・禺彊禺禺禺京禺号禺谷禺筴禺車・禺禺中禺馬
[下接語]
海禺・三禺・番禺・封禺

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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