秋の声(読み)あきのこえ

精選版 日本国語大辞典 「秋の声」の意味・読み・例文・類語

あき【秋】 の 声(こえ)

(きぬた)や風の音など、ものさびしい秋の情趣を感じさせる物音俳諧季語としては、何の物音というのではないが、どこからともなく響いて来るように感じられる、秋のあわれを深くおぼえさせる幽玄な音の意にも用いられる。《季・秋》
※新古今(1205)雑下・一九九二「みづぐきの中にのこれるたきの声いとしも寒き秋の声かな〈大中臣能宣〉」
[語誌](1)秋という季節に自然のもたらすさまざまな音、風、葉の揺落、虫や鳥の声などを表現する「秋声」の語は、中国では六朝時代から見られ、宋代の欧陽脩の「秋声賦」(「古文真宝」後集所収)に集大成される。
(2)日本では「菅家後集」の「和紀処士題新泉之二絶詩」の「触石秋声如読誦」など漢詩文を経て、新古今時代の和歌に「秋の声」としてとりこまれ、さらに俳諧の季語として定着した。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「秋の声」の意味・読み・例文・類語

あき‐の‐こえ〔‐こゑ〕【秋の声】

もの寂しい秋を感じさせる風雨・木の葉・きぬたなどの音。秋声しゅうせい 秋》きぬを裂く琵琶の流れや―/蕪村

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