移入組織(読み)いにゅうそしき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「移入組織」の意味・わかりやすい解説

移入組織
いにゅうそしき

裸子植物の葉に特徴的にみられる通道組織で、維管束に伴って存在する。マツ属では維管束の全周を取り巻いて内皮の内側を埋めており、モミ属などでは維管束の篩部(しぶ)側にのみあり、またカヤ属、イヌマキ属などでは維管束の両側にあるなど、分類群によって分布の仕方が異なる。組織は木化して細胞内容物を欠き、有縁壁孔(へきこう)や網目状の模様をもつ仮道管性の細胞(移入仮道管とよぶ)と、樹脂タンニンを含む柔細胞からできている。この組織の由来や、形態学上の位置づけについては古くから議論があり、単に柔組織が木化したとする説や、シダ植物や原始的裸子植物(ソテツシダ類など)にみられる求心木部(もくぶ)の名残(なごり)だとする説などがある。

[鈴木三男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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