日本大百科全書(ニッポニカ) 「稲こうじ病」の意味・わかりやすい解説 稲こうじ病いなこうじびょう / 稲麹病 イネの穂に出る病気で、豊作の年に多く発生するので豊年病ともいわれる。クラビセプス・ビレンスClaviceps virensという子嚢(しのう)菌の寄生によっておこる。普通、1穂に2、3粒、多いときには7、8粒のもみが肥大して黒みを帯びた緑色になり、表面に亀裂(きれつ)ができる。黒色の塊は、病原菌の菌糸および厚膜胞子である。このような病もみにはのちに菌核が形成され、翌年菌核に小さなキノコができ、多数の子嚢胞子を飛散し、穂ばらみ期のイネに侵入して病気をおこす。[梶原敏宏][参照項目] | イネ 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
飼料作物病害図鑑 「稲こうじ病」の解説 稲こうじ病(飼料イネ) 冷涼地で発生の多い病害。初め籾に黄緑色の塊が現れ、後に肥大・黒化し、厚壁胞子を多量に形成して粉状となり、収穫期に近づくと黒色の菌核を形成する。低温多湿などの好適条件下では大発生し、半数以上の穂が罹病する。特に飼料イネでは発生が多い。病原菌はマイコトキシンであるウスティロキシン(Ustiloxin)を産生し、まだ具体的事例はないが家畜中毒が懸念される。 出典 畜産草地研究所飼料作物病害図鑑について 情報