日本大百科全書(ニッポニカ)「菌核」の解説
菌核
きんかく
菌類の栄養体が形成する硬い塊状の休眠体。変形菌類の栄養体(変形体)は低温、乾燥など、環境が成長に不適当になると、原形質流動をやめて丸まり、その周囲を包む膜が角質状になる。この黄色ないし褐色の小さい菌核は、地中や倒木の下などで越冬する。環境がよくなると、外壁は解消または外壁を残して内容がはい出て変形体になる。
担子菌類・子嚢(しのう)菌類の栄養体(菌糸体)は塊状の硬い菌糸組織を形成して休眠する場合がある。この菌核は白または褐色で、径は数ミリメートルから大きいものでは30センチメートルに達する(土壌や宿主の組織の一部を含んでいる場合は、菌核と区別して偽(ぎ)菌核ということもある)。菌核は、のちにしばしば子実体を生ずる。接合菌類にも小さい菌核をつくるものがあるが、これからは菌糸体を生ずる。放線菌類では、まれにバラ色やオリーブ色の微小な菌核がみられる。
[寺川博典]
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