突抜(読み)つきぬけ

精選版 日本国語大辞典 「突抜」の意味・読み・例文・類語

つき‐ぬけ【突抜】

〘名〙
① 突き抜けること。突きとおること。
※一千一秒物語(1923)〈稲垣足穂〉箒星を獲りに行った話「よく見ると小舎の天井が突きぬけで」
向こう側へ通り抜けること。
※俳諧・涼石(1701)「鴨の毛や巴分行細小路〈入松〉 一番町をつきぬけの椵〈大町〉」
③ すべてもれなく聞こえること。つつぬけ。
※歌舞伎・桑名屋徳蔵入船物語(1770)三「『すりゃ何もかも聞いたか』『あちらからこちらへ突抜(ツキヌ)けだ』」
④ めくり賭博の用語。仲蔵役(略して仲)は青七・青八・青九の札(ふだ)、赤蔵役(略して赤)は赤七・赤八・赤九の札、この両役の札の七と七、八と八、九と九を同時に入手すること。
※洒落本・一騎夜行(1780)二「仲赤の突(ツキ)ぬけ」
近世、京都市中の道路の一種。大路や小路の間に新しく通した南北の道路で、あいだに寺社邸宅などがあって分断されるものをいう。
京雀(1665)三「此南行(がは)に突抜(ツキヌケ)只一町連忍の辻子と云」

つき‐ぬ・ける【突抜】

〘自カ下一〙 つきぬ・く 〘自カ下二〙
① 突き破って裏までとおる。つきとおる。
坊っちゃん(1906)〈夏目漱石〉二「空の底を突き抜けた様な天気だ」
② 向こう側へ通り抜ける。
※化銀杏(1896)〈泉鏡花〉一「往来より突抜(ツキヌ)けて物置の後の園生まで、土間通庭になり居りて」
③ 大きな障害難題などを乗り越える。
結婚生態(1938)〈石川達三〉一「その我儘自分でどうしても突きぬけることができなかった」

つん‐ぬ・ける【突抜】

〘自カ下一〙 つんぬ・く 〘自カ下二〙 「つきぬける(突抜)」の変化した語。
狂歌・銀葉夷歌集(1679)一〇「仏とも神とも人はなるげなに此六道をつんぬけてのけ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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