突込(読み)つっこむ

精選版 日本国語大辞典 「突込」の意味・読み・例文・類語

つっ‐こ・む【突込】

(「つきこむ(突込)」の変化した語)
[1] 〘他マ五(四)〙
勢いよく突入させる。突進させる。
滑稽本浮世風呂(1809‐13)前「角(かく)を突込(ツッコ)めとお出なすったか。イヤ角を突込(ツッコ)めとお出なされたかっ」
② 勢いよく入れる。また、すっぽりと入れる。
※雑兵物語(1683頃)上「替㮶杖を〈略〉右の脇に後の胴のすいた所へつっこんでおきなされよ」
全部のものをへだてなくいっしょにする。二つ以上のものをつき混ぜる。ならす。平均する。
※雑俳・五色墨(1809)「突込んで・木戸の子も出す寺小屋場」
④ なかに取り入れる。奥底まで入れる。特に、飲食物を腹中に詰めこむ。
※雑兵物語(1683頃)上「此二色のわけを能々ほて腹へつっこんでおけ」
弱点や問題の核心などを鋭く指摘して迫る。押し迫る。
当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一〇「一本グット突込(ツッコ)まるると、跡は一言も梨の実の皮」
[2] 〘自マ五(四)〙
① 勢いよく中にはいる。無理に押し入る。突進する。はいりこむ。
歌舞伎・傾城青陽𪆐(1794)大序「また死ぬる真似をして、突(ツ)ッ込(コ)んで行けと教へるこなし」
② ものの内面に深くはいりこむ。一つのことに深くかかわりあう。また、弱点や核心に触れるようにする。
※歌舞伎・傾城勝尾寺(1761)口明「これ太夫とっくりとききや、小いなもつっこんで聞てくれ」
③ 一段と深刻に演技する。転じて、ことさらに感情を込めた声で歌ったり呼んだりする。
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一「長唄も〈略〉松永は唯つっこむばかりで面白くもなんとも有りゃアしない」
④ めりこむ。落ちこむ。
⑤ 取引市場で、相場が下落する。勢いに乗じて売り進む。安値にかまわず売りこむ。

つっ‐こみ【突込】

〘名〙 (「つきこみ(突込)」の変化した語)
① つっこむこと、また、その勢い。突進。突入。
② 全部を分けへだてしないでいっしょにすること。二つ以上のものをつき混ぜること。こみ。〔詞葉新雅(1792)〕
③ ものの内面に深くはいりこむこと。
浮世草子・好色二代男(1684)八「太夫天神残らずも、髪はつっこみ、大振袖、いづれも美少人のごとく」
漫才で、ぼけに対して話を進める役。万歳の大夫役にあたる。
※話の味覚(1962)〈一龍斎貞鳳〉よみうり演芸館「座敷芸」「つっこみ(まじめな方、太夫という)ぼけ(笑わせる方、才蔵という)」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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