立回(読み)たちまわり

精選版 日本国語大辞典 「立回」の意味・読み・例文・類語

たち‐まわり‥まはり【立回】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 立ち居ふるまいの様子。挙動
    1. [初出の実例]「御座敷の内にても、立まわりのよき者が、地行を取と見へたり」(出典:三河物語(1626頃)三)
    2. 「言葉遣い、立まはり、物くひ、身あつかいでしれます」(出典:評判記・難波鉦(1680)六)
  3. 能で、歌詞を伴わないで、大鼓(おおつづみ)・小鼓・太鼓はやしに笛のあしらいで、シテが舞台の上を静かに歩きまわる動作。大鼓・小鼓・笛のはいる大小立回りと太鼓のはいる太鼓入り立回りとがある。「百万(ひゃくまん)」の子を探す時などに用いられる。
  4. 芝居や映画の演技で、斬り合ったり、格闘をしたりすること。殺陣(たて)。元来は歌舞伎用語。
    1. [初出の実例]「大勢相手にして太刀打するをたてといひ、少しき事は立ち廻りといひ」(出典:歌舞妓事始(1762)二)
  5. けんかをすること。つかみあい取っ組みあって暴れること。
    1. [初出の実例]「二人の立(タ)ち廻(マハ)りは今姉の自白するやうに受身のものばかりでは決してなかった」(出典道草(1915)〈夏目漱石〉五)
  6. 自分が有利になるように、要領よく行動すること。
    1. [初出の実例]「『正直なものは損をする。なあ、横田』『うむ、おれ達は馬鹿さ。皆立(タ)ち廻(マハ)りがうまいのさ』」(出典:苦心学友(1930)〈佐々木邦〉石炭泥棒)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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