夏目漱石(そうせき)の長編小説。1915年(大正4)6月3日から9月10日まで、東京・大阪の『朝日新聞』に連載。同年10月、岩波書店刊。留学から帰国した健三は社交を避けて、研究の完成に心血を注ぐ。しかし、夫の手前勝手を責める妻お住のヒステリーに悩み、再会した昔の養父島田や小市民の暮らしにあえぐ兄夫婦など、恩愛と義理の絆(きずな)に縛られた心労も多い。島田とのトラブルは金銭で解決したが、世の中になにひとつかたづくもののないことを健三は知っていた。『吾輩(わがはい)は猫である』執筆前後の時期を描いた作品で、さまざまな煩労の解決を強いられた神経衰弱の日々が、執筆時の覚めた認識と合せ鏡にして回想される。愛と自己本位の葛藤(かっとう)、知識人の孤独など年来の主題が実生活を糧(かて)として検証され、日常生活の実感を彷彿(ほうふつ)する簡潔な描写が、その奥に潜む危機を暗示する傑作。
[三好行雄]
『『道草』(岩波文庫・旺文社文庫・角川文庫・講談社文庫・新潮文庫)』▽『桶谷秀昭著『夏目漱石論』(1972・河出書房新社)』
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…このことを〈彼は暗い櫺子(れんじ)のうちで転げ廻った。惣身(そうしん)の肉を所嫌はず搔き挘(むし)って泣き叫んだ〉と《道草》に記している。孤独な幼年時代の記憶は暗い色調に覆われている。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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