立越える(読み)タチコエル

デジタル大辞泉 「立越える」の意味・読み・例文・類語

たち‐こ・える【立(ち)越える】

[動ア下一][文]たちこ・ゆ[ヤ下二]
越える。過ぎていく。「国境くにざかいの峠を―・える」「一身利害を―・える」
まさる。すぐれる。
「外の姫たちに―・えて美しとおもうところもなく」〈鴎外・文づかひ〉
出て行く。出かけて行く。
嵯峨野の方ゆかしく候間に、―・え一見せばやと思ひ候ふ」〈謡・野宮

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精選版 日本国語大辞典 「立越える」の意味・読み・例文・類語

たち‐こ・える【立越】

  1. 〘 自動詞 ア行下一(ヤ下一) 〙
    [ 文語形 ]たちこ・ゆ 〘 自動詞 ヤ行下二段活用 〙 ( 「たち」は接頭語 )
  2. 山、川など障害となるものを越えてゆく。越える。過ぎてゆく。
    1. [初出の実例]「木幡山峰たち越て見わたせば」(出典:仏道の記(1266‐69頃))
  3. まさる。すぐれる。凌駕する。
    1. [初出の実例]「ありし塩屋のけぶりにもたちこえ、それをかはりにかたりかへすぞ」(出典:弁内侍日記(1278頃)建長三年)
    2. 「むかしにも猶たちこゆるみつぎもの」(出典:増鏡(1368‐76頃)一〇)
  4. 出かける。出かけてゆく。行く。
    1. [初出の実例]「嵯峨野のかたゆかしく候ふほどに、立ち越え一見せばやと思ひ候」(出典:謡曲・野宮(1470頃))
  5. 来る。やってくる。
    1. [初出の実例]「我もこれまでたちこえしうへは、いそぎ都へのぼりて」(出典:御伽草子・鳥部山物語(類従所収)(室町末))

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