朝日日本歴史人物事典 「竹婦人」の解説
竹婦人
生年:生年不詳
江戸中期の河東節の作詞者,俳諧師。江戸吉原の娼家天満屋の主人で,名は竹島正朔,仁左衛門。俳号竹婦人,呉丈。河東節では初代河東から3代にわたってその詞章を書いた。代表作「禿万歳」「江の島」(初代河東),「一瀬川」「花がたみ」「水調子」「浮かむ瀬」「濡れ扇」(2代目河東),「いの字扇」「夜の錦」(3代目河東)がある。俳人岩本乾什の弟子で,師の「呉丈」の号を継いでおり,ふたりの呉丈の混同から河東節作詞者竹婦人を乾什とする説が生まれたが,誤り。斎藤月岑『武江年表』(1759)には,「乾什の世に行はれたる故,自ら混じて伝へしものなりといへり」とある。<参考文献>白石悌三「乾什は竹婦人にあらず」(『江戸時代文学誌』1号),岡野知十『玉菊』
(吉野雪子)
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