改訂新版 世界大百科事典 「第四アンモニウム化合物」の意味・わかりやすい解説
第四アンモニウム化合物 (だいよんアンモニウムかごうぶつ)
quaternary ammonium compound
アンモニウム塩N⁺H4X⁻の窒素原子についている水素原子をすべて炭化水素基で置き換えた化合物。一般式NR4X。第四アンモニウム塩quaternary ammonium saltともいう。たとえば,ヨウ化テトラメチルアンモニウムN⁺(CH3)4I⁻(230℃で分解),水酸化テトラメチルアンモニウムN⁺(CH3)4OH⁻などがある。イオン性化合物なので一般に水に溶けやすい。また,融点が高く,しばしば融点付近で分解する。ハロゲン化第四アンモニウム化合物は,第三アミンにハロゲン化アルキルを作用させて作る。
NR3+RX─→N⁺R4X⁻
これに湿った酸化銀を作用させると,水酸化第四アンモニウムが生じる。
水酸化第四アンモニウムは水酸化ナトリウムに匹敵する強塩基である。加熱すると分解して第三アミンを生じる(ホフマン分解)。重要な生体物質であるアセチルコリンやコリンなども第四アンモニウム化合物である。
執筆者:小川 桂一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報