簾座(読み)すだれざ

改訂新版 世界大百科事典 「簾座」の意味・わかりやすい解説

簾座 (すだれざ)

室町時代,すだれを販売した商人の座。伊予すだれ難波葦すだれと並んで有名な大和の萱すだれを販売した商人の座が知られる。奈良座と乙木座の二つがあった。奈良座は奈良では,興福寺に対し維摩会,若宮祭礼の際に,また興福寺一乗院に対しては定例の公事を納め,京都では賀茂葵祭にすだれを奉仕し,本所一条家に公事を納めた。福寺以北の大和国内(奈良を含む)と京都におけるすだれの販売権は奈良座が独占していた。このすだれを生産していたのは大和乙木荘の住民であり,奈良座の商人は住民からすだれを買い取っていた。一方,乙木荘の生産者もまた販売人として乙木座(篇座ともよばれた)を結び,興福寺大乗院を本所とし,福寺以南の大和における販売権を独占していた。また東大寺南戒壇院にも公事を納めて奈良に出入りする権利を確保していたが,応仁の乱後の奈良座の衰退に伴い,この公事納入を根拠に奈良での販売権を主張するようになり,奈良座の奈良における販売権独占を脅かすようになった。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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