米軍改編(読み)べいぐんかいへん(英語表記)Transformation

知恵蔵 「米軍改編」の解説

米軍改編

米軍を将来の世界情勢に対応し、米国の権益を守るために必要とされる形に改革する計画。トランスフォーメーションという特定の計画はないが、IT技術を中心に、情報を活用・共有する方式で全体的な必要量(兵士や装備、補給品の数量)を削減し、陸海空海兵隊・沿岸警備隊の統合的な運用(joint operations)能力を高め、所要兵力の減少と多種任務に対応できるようにする。あらゆる計画に「トランスフォーメーショナル」な内容が求められ、逆にトランスフォーメーションに関係すると説明されるなら、その計画が簡単に承認される傾向も生まれている。在来型のF‐15戦闘機の後継である、ステルス性に優れ超音速巡航ができるF‐22戦闘機や、大型大重量の戦車に代わる空輸可能な装輪式の装甲戦闘車はトランスフォーメーショナルな装備とされる。有人機に代わって巡航ミサイルや無人機を多用する方式、正規軍部隊の代わりに特殊作戦部隊が中心になって、陸海空軍部隊を指揮する運用もトランスフォーメーショナルである。また新たな脅威に対応するために、国内米軍基地配備を見直し、統廃合を進める一方、各基地・施設多くの軍(陸海空軍など)で共用するのもトランスフォーメーショナルな手法とされる。

(江畑謙介 拓殖大学海外事情研究所客員教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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