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戦車 センシャ

6件 の用語解説(戦車の意味・用語解説を検索)

デジタル大辞泉の解説

せん‐しゃ【戦車】

火砲および自動火器を積載し、無限軌道による路外機動力と、特殊鋼板による装甲防護力とを具備した車両。第一次大戦で初めて登場、第二次大戦では地上戦闘の中心兵器となった。タンク。
戦闘用の車。兵士が乗り、馬に引かせた。古代中国や古代オリエント諸国で使用。

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百科事典マイペディアの解説

戦車【せんしゃ】

攻撃力として威力の大きい砲などをもち,防御力として十分な強さの装甲板で包まれ,キャタピラーにより道路のない原野などをも自由に走行できる戦闘車両。古代から牛車などをこのような目的に用いた多くの例があるが,現代的な戦車は1916年9月第1次大戦のソンム会戦でイギリス軍が使用し,ドイツ軍の機関銃火力を排除し奇襲効果の威力を発揮したのに始まる。
→関連項目キャタピラ装甲対戦車ミサイル兵器

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世界大百科事典 第2版の解説

せんしゃ【戦車 tank】

威力の大きな火砲を搭載し,強力な装甲板によって防護され,道路のないところでも自由に走りまわることができる戦闘車両で,陸上戦闘の中核となる兵器である。戦車のことを〈タンク〉というのは,イギリスで初めて作られた戦車の形が水槽(タンク)に似ていたことと,新兵器の秘密がもれるのを防ぐため,この名称をイギリスで使ったのが始まりといわれている。なお戦車と外形的に似ているものに自走砲がある。戦車は近接戦闘用兵器として,火力,機動力,防護力ともに高い性能が要求されるのに対し,自走砲は搭載している火砲によって相手に打撃を与えるもので,戦車ほどの機動力や防護力は要求されないのが通常である。

せんしゃ【戦車】

ロバや馬に引かせて使用された,古代の戦闘用の車。近代兵器としての〈戦車〉については次項を参照されたい。
[古代オリエント]
 シュメール初期王朝時代,ロバに引かせた4輪の戦車が存在していたことは,ウル王墓(前2700ころ)出土スタンダードモザイク画から明らかにされる。ほかに2輪戦車もあった。車輪は2枚(しばしば数枚)の板を接合して造られ,まだ輻(や)を有していなかった。重くて敏活な行動に適していなかったシュメールの戦車は,アッカド時代以降,利用されなくなったように思われる。

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大辞林 第三版の解説

せんしゃ【戦車】

厚い装甲で全体を防護し、火砲を搭載してキャタピラーで走行する車両。第一次大戦で初めて登場。タンク。
兵士を乗せ、馬に引かせた戦闘用の車。古代中国・ローマなどで用いられた。兵車。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

戦車
せんしゃ
tank

打撃力、防御力、機動力をあわせ備えた攻撃的兵器。一般的には装甲車、自走砲なども含め、広く装軌式戦闘車両をさす場合も多いが、狭義には全周旋回可能な砲塔内に直接射撃を主とした強力な火砲を装備し、全体を強固な装甲板で防護した全装軌式(キャタピラー式)車両をいう。[竹内 昭]

分類

第二次世界大戦以前は重量により、軽戦車、中戦車、重戦車などに区分するのが慣例であったが、時代あるいは国によりその基準には大きな差があった。現在ではその用途により、偵察戦車、主力戦車(主戦闘戦車)、支援戦車というような分類法がとられている。
 戦車に近似したものに自走砲がある。これは本来、火砲をトラクター上に搭載して移動の便を図っただけの、戦車とはまったく別のものであるが、装甲防御力の付与、機動力の向上に伴い、その用法は別にして、機構的にはあまり差がなくなってきている。[竹内 昭]

沿革

戦車の歴史をさかのぼれば、紀元前2000年ごろの「チャリオット」(chariot=古代戦車)に至るが、一般的には第一次世界大戦中にイギリスで試作されたリトル・ウィリーをもって始祖としている。第一次世界大戦後期はまったくの塹壕(ざんごう)戦で、全面的に膠着(こうちゃく)状態となったため、この均衡を破ることを目的に、敵の機関銃弾によく耐え、壕を自由に突破できる奇襲兵器として考えられたのが戦車であった。リトル・ウィリーは武装なしの試作車だったが、続いて57ミリメートル砲各一門を車体両側面のスポンソン(はり出し砲門)に装備した実戦型戦車の原型であるビッグ・ウィリーが完成し、1916年1月16日に最初の走行試験が行われた。
 これらの開発は、当時海軍大臣の職にあったウィンストン・チャーチルの支持のもとに設立された陸上軍艦委員会Landships Committeeのメンバーによって行われたが、機密保持上、ロシアから発注された前線部隊に水を運ぶ「水槽」(タンク、tank)として取り扱われた。これが戦車(タンク)の語源であり、現在もなお使用されている。
 ビッグ・ウィリーを基礎とした量産型の号型戦車Tank Mk. 1は、1916年9月15日のソンムの戦いに初めて投入されたが、数量がわずか49両であったのに加え、故障車が続出したため、ドイツ軍にある程度のショックを与えたものの用兵的には失敗に終わった。このため、一部に戦車に対する批判の声が大きくなったが、翌1917年11月20日のカンブレー戦においては474両を狭正面に集中投入し陣地突破に大成功を収め、その地位を確保した。
 イギリスのこの計画とはまったく別に、フランスにおいても戦車の開発がJ・E・エティエンヌ将軍Jean-Baptiste Eugne Estienne(1860―1936)を中心に行われ、1916年2月には400両がシュナイダー社(現、シュナイダーエレクトリック社)に発注されたが、1917年4月まで実戦に投入されなかったため、戦車の発明国はイギリスであるというのが世界の定説になっている。他方ソ連では、革命前の帝政ロシアが1914年8月に設計を開始し、1915年5月に試験を完了した1履帯(キャタピラー)式の「不整地通過車」を世界最初の戦車として位置づけていた。
 第一次世界大戦にはイギリスの号型から号型重戦車、A型からD型までの中戦車、フランスのシュナイダー戦車、サン・シャモン戦車、ルノーFT軽戦車、イタリアのフィアット2000型、ドイツのA7Vなどが製作されたが、これらのうち戦後の戦車発達の母体となったのは、フランスのルノーFTであった。ほかの戦車のほとんどが限定射界の火砲しかもたぬ自走砲に近い構造であったのに対し、ルノーFTは車体中心線上に全周射界の砲塔を有し、走行装置に緩衝機構を採用するなど、近代戦車の始祖としての資質を十分に備えていたのである。
 第一次世界大戦終結後、第二次世界大戦までの約20年間は、関連産業のレベルアップとともに戦車の技術的成長期にあたり各国で各種の試みが行われたが、画期的な進歩発達をみたのは第二次世界大戦においてである。第二次世界大戦初頭にドイツ軍が演じた電撃戦は、戦車を軍の衝撃力として用いるもので、それまでの歩兵の支援を主体とする戦車用兵思想に革命をもたらすものであった。また戦争の進展に伴い戦車への対抗手段には戦車が第一であるという考えも強まり、その結果、開戦時には九七式中戦車(日本)、号戦車(ドイツ)、M2軽戦車(アメリカ)などのように重量10~20トン、37~57ミリメートル砲装備が標準であった主力戦車が、大戦末期には、パンター(ドイツ)、M4中戦車(アメリカ)、T34中戦車(ソ連)のように30~45トン、75~90ミリメートル砲装備が標準となり、なかにはドイツのティーガー型(69トン、71口径88ミリメートル砲装備)、ソ連のИС(イエス)(46トン、43口径122ミリメートル砲装備)などの強力な重戦車も登場した。第二次世界大戦の終結により戦車の開発も一時的にスローダウンした。とくに核兵器の登場に伴い戦車無用論も強くおこったが、各種実験の結果はまったく逆に装甲車両の対核兵器有効性を示すことになり、各国とも戦後型新鋭車両を次々と開発するようになった。
 現代の戦車をこれまでの戦車と比較した場合、攻撃力、防御力、機動力のすべてにわたり画期的な向上が図られている。攻撃力については搭載火砲、使用弾薬の発達もさることながら、命中精度を高めるための射撃統制装置が飛躍的に進歩し、最新のエレクトロニクス技術の採用により初弾必中を期している。防御力については、従来の防弾鋼板やアルミ合金に加え、セラミックス、チタン合金などを組み合わせた特殊な複合装甲が開発され、とくに対戦車ミサイル、ロケット弾などに用いられる成形炸薬(さくやく)弾頭に対し有効なものになっている。また核汚染地域などで行動する必要が生じた関係上、特殊フィルターとブロワーを組み合わせ、内圧を高めて有害外気の車内侵入を防ぐ、対CBR防護装置の設置も不可欠の条件となった。一方、機動性については軽量大出力のディーゼルエンジンまたはガスタービンが採用され、高効率の操向変速装置と相まって、瞬発性と高速力を得ている。
 代表的な例としてはアメリカのM1系列、ロシアのT‐80系列、ドイツのレオパルト2系列、イギリスのチャレンジャー系列、フランスのルクレール、日本の90式戦車などがあり、いずれも120~125ミリメートル級の主砲をもち、重量は50~60トン前後となっている。
 主砲は高初速を得るために、これまでのライフル砲身にかわり、翼安定弾を発射する滑腔砲が主流になった。[竹内 昭]

構造

標準的な戦車は車体部と砲塔部からなり、操縦室、戦闘室、機関室の3部分に分かれる。操縦室は車体前部にあり、操縦手1名が座る。第二次世界大戦以前の戦車ではこれに並び車体前方機関銃を操作する銃手席を設けたものが多かった。砲塔を中心とする戦闘室には、戦車長、砲手、装填(そうてん)手の3名が座乗し、戦車長は車両の指揮、砲手は主砲・砲塔銃の射撃、装填手は弾丸の装填を行う。自動装填装置の採用により装填手をなくしたものもある。
 主砲は砲塔内に駐退復座機とともに砲耳(砲身を取り付けるための突起部)を介して取り付けられ、任意の俯仰(ふぎょう)角度が得られるようになっている。駐退復座機は射撃の際の砲の反動を吸収するとともに後座した砲を定位置に戻す装置であるが、戦車砲は砲塔内容積の関係から通常の火砲に比較して後座量が小さい。砲の方向変換は歯車装置により砲塔全体を旋回させて行うが、その作動は電気または油圧を主体とし、手動機構を併用するのが普通である。
 後部の機関室には、エンジン、変速操向機があり、終減速機(変速操向機からの動力を減速し起動輪に伝える歯車装置)を通して動力を起動輪に伝達し履帯(キャタピラー)を駆動する。装軌車の方向変換は装輪車と違い、左右の履帯の速度を変えることによって行うが、その操向機の方式には多くの種類がある。[竹内 昭]
『加登川幸太郎著『戦車』(1977・圭文社) ▽原乙未生・栄森伝治・竹内昭著『日本の戦車』(1978・出版協同社) ▽R・M・オゴルキーヴィッツ著、林磐男訳『近代の戦闘車両』(1983・現代工学社) ▽林磐男著『タンクテクノロジー』(1992・技術教育研究会) ▽土門周平著『戦車と将軍――陸軍兵器テクノロジーの中枢』(1996・光人社) ▽ピーター・チェンバレン、クリス・エリス著『世界の戦車』(1997・大日本絵画) ▽上田信著『戦車メカニズム図鑑』(1997・グランプリ出版) ▽ヴァルター・J・シュピールベルガー著、津久部茂明訳『ティーガー戦車』(1998・大日本絵画) ▽ヴァルター・J・シュピールベルガー著、高橋慶史訳『パンター戦車』(1999・大日本絵画) ▽斎木伸生著『ドイツ戦車発達史』(1999・光人社) ▽日本兵器研究会編『世界の主力戦車カタログ』(2000・アリアドネ企画) ▽日本兵器研究会編、清谷信一企画・監修『現代戦車のテクノロジー』(2001・アリアドネ企画)』

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世界大百科事典内の戦車の言及

【攻撃機】より

…地上目標(艦船,戦車,飛行場など)に対する攻撃を主目的とする軍用機で,航空母艦用の艦上攻撃機と近接地上支援用の陸上機型攻撃機の2種類に大別される。アメリカ軍ではこれらを総称してアタッカーattackerと呼んでいる。…

【自走砲】より

…各種の火砲を戦車や装甲車などの車体に取りつけ,自力で走行できるようにしたものの総称。搭載している火砲の種類により,自走カノン砲,自走榴弾(りゆうだん)砲,自走迫撃砲,対戦車自走砲,対空自走砲などと呼ばれる。…

【殷】より

…西方トルキスタンから玉(ぎよく)が輸入され,美しい玉器が大量に作られる。後期に見られる馬で牽引する戦車も非常に発達した形式のもので,軍隊の中心は戦車によって構成されたほど多数使用されたが,現在のところ中期の遺跡からは車の遺物がまったく発見されないので,完成した戦車の技術が西方から伝えられたのではないかとも言われるが,当時の西域との関係はまったく史料に欠け,不明である。 また後期になり,初めて文字が発見される。…

【ウマ(馬)】より

…馬の家畜化がシベリア南部から黒海北部草原に至るステップ地帯で進められただろうことは,ほぼまちがいない。
[戦車と馬]
 古代オリエント世界では,馬は戦車を引くものとして前2千年紀前半に登場する。戦車はそれ以前からあったが,それはオナジャーによって引かれる型であった。…

【車】より

…円形の輪縁は幾本かの木片をつなぎ合わせてつくられたが,1本の細長い木を加熱して曲げてつくることもあった。初期のスポーク車輪は,一般に戦車に使用され,馬が引くためにスピードは出たが,がんじょうでなかったので,それほどの成果は上がらなかった。
【車両の歴史】

[ヨーロッパ]
 古代で車が目覚ましく活躍したのは,戦車である。…

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