化学辞典 第2版 「粉じん爆発」の解説
粉じん爆発
フンジンバクハツ
dust explosion
粉体爆発ともいう.空気中に浮遊する適当な濃度範囲の粉じんが,熱と圧力を発生しつつ急激に燃焼する現象.これはガスや蒸気の爆発と類似しているが,燃焼速度はマグネシウム粉のような場合を除いて緩やかである.揮発成分を多量に含む石炭微粒子による炭じん爆発がよく知られているが,そのほか飼料,米ぬか,粉ミルク,砂糖,小麦粉,ココア,鉄粉,天然および合成樹脂粉末,無水フタル酸,硫黄,洗剤など,きわめて広範囲のものが爆発を起こす.爆発を起こす粉じん粒子の大きさとしては,700 μm 以下のものが対象となり,100 μm 以下はとくに危険である.爆発限界は粒子の大きさと点火源の強さによって異なるが,多くの場合15~50 mg m-3 であり,最小発火エネルギーは10~80 mJ である.いずれも粒子径が小さいほど小さい.粉じんの発火温度は350~600 ℃ の範囲にあり,層状に堆積されたほうが低い.粉じん爆発を防止する方法として,酸素濃度の減少,不活性粉末の混合,不活性ガスによる希釈,点火源の排除(静電気を含む),爆発抑制設備の使用などがある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報