六訂版 家庭医学大全科 「糖尿病腎症の診断」の解説
糖尿病腎症の診断
(代謝異常で起こる病気)
尿をとり、通常はテープを用いた定性反応でアルブミンや蛋白が出ていないかどうかを検査します。陽性に出た場合には、アルブミンや蛋白の排泄量を測定します。24時間蓄尿して測定する場合には、微量アルブミン尿はアルブミン排泄量が30~300㎎/日と定義されます。随時尿では、クレアチニンを同時に測定して、クレアニチン1gあたり30~300㎎と定義されます。これ以上は蛋白尿ということになります。
糸球体濾過量(GFR)の検査として、クレアチニンクリアランスを測定する場合もあります。24時間あるいは数時間の尿を正確にためて、尿中と血中のクレアチニン濃度から求めます。ただ最近では、計算式から求めた推定GFR(eGFR)を使うことが多くなっています。
これらの検査から、腎症の病期分類(表4)のどこに相当するかが決まるので、治療の指針が得られると思います。
蛋白尿が3.5g/日以上と高度になり、浮腫や血液検査で低蛋白血症(総蛋白が6.0g/㎗未満、アルブミンが3.0g/㎗未満)、高コレステロール血症がみられるような場合、ネフローゼ症候群と呼ばれます。
糖尿病腎症では通常は血尿はみられません(ただし、進行して蛋白尿が高度な場合にはみられることもあります)。血尿がみられる場合には、ほかの腎疾患による場合もあります。このような場合には、腎生検といって、腎臓に針を刺して組織を一部採取し、組織検査を要することもあります。
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報