デジタル大辞泉
「糸状虫症」の意味・読み・例文・類語
しじょうちゅう‐しょう〔シジヤウチユウシヤウ〕【糸状虫症】
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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糸状虫症(フィラリア症)
しじょうちゅうしょう(フィラリアしょう)
Filariasis
(感染症)
広い意味のフィラリア症はいろいろなものを含みますが、普通にはバンクロフロト糸状虫による病気のことを指します。かつては九州から沖縄にかけて分布していましたが、完全に根絶され、今では輸入感染症です。
この虫は蚊によって媒介され、感染してから3カ月~1年で成熟します。長さは、オスが4㎝、メスが8㎝で、糸のように細長い虫がリンパ節やリンパ管のなかに寄生します。寿命は4~5年と考えられています。
感染して9カ月ほどは症状がありませんが、突然発熱し、下腿や鼠径部(腿の付け根)のリンパ管が炎症を起こし、リンパ節がはれて痛みを伴います。このような熱発作は4日~1週間続きます。
年に数回の発作を繰り返すうちに慢性化し、腕や脚の皮膚が浮腫(むくみ)を起こし、厚ぼったく硬くなっていきます。これが進むと病変部が象の皮膚のようになり、象皮病と呼ばれます。
虫が鼠径部のリンパ管にいると、男性では陰嚢にリンパ液がたまって大きくはれあがることがあります。また、リンパ管と尿管がつながって、尿のなかに食事から吸収した脂肪分が出てくるようになることもあります。
メスはミクロフィラリアという幼虫を産むので、採血してミクロフィラリアが血液中にいることが確認できれば診断がつきます。ただし、ミクロフィラリアは夜間(午後10時~午前2時くらい)にしか現れないため、この時間帯に採血しなければなりません。近年は優れた診断キットがあり、時間帯に関係なく少量の採血で診断できます。
駆虫薬(スパトニン)で駆虫します。慢性化した象皮病などは駆虫では元にもどらないため、外科的に処置します。
国内で感染することはありませんが、アフリカや中南米、インドから東南アジアなどの流行地に1年以上滞在していれば感染の可能性があります。フィラリア症の経験のある医師は国内には少なくなっているので、まず大学の医学部などに問い合わせてみるのがよいでしょう。
丸山 治彦
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
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しじょうちゅうしょうふぃらりあしょう【糸状虫症(フィラリア症)】
アカイエカやトウゴウヤブカなどの蚊(か)に刺されたときに、ミクロフィラリアという幼虫が体内に侵入して感染します。熱帯、亜熱帯地域に多く、日本では、かつてバンクロフト糸状虫とマレー糸状虫がみられましたが、現在は発生がありません。
●症状
感染すると、初めに「くさふるい」と呼ばれる震えをともなう発熱がみられます。成虫がリンパ管に寄生すると、炎症をおこして皮膚が腫(は)れます。尿がミルクのように白く濁ったり(乳糜尿(にゅうびにょう))、これに血液が混じったり(乳糜血尿(にゅうびけつにょう))します。
慢性化すると、皮下組織が線維化して増殖(ぞうしょく)し、陰嚢(いんのう)、大陰唇(だいいんしん)、手足、乳房などの皮膚が象の皮膚のようになります。これがいわゆる象皮病(ぞうひびょう)です。
マレー糸状虫症では、手足の象皮病がおもです。
●治療
治療は、ジエチルカルバマジンを2週間内服します。象皮病や陰嚢水腫(いんのうすいしゅ)がおこったときには外科的に手術をするか、副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン(コーチゾン)を注射します。
●予防
流行地にでかけるときには、蚊に刺されないように注意しましょう。
出典 小学館家庭医学館について 情報
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出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報
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