陰嚢(読み)いんのう(英語表記)scrotum

翻訳|scrotum

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

陰嚢
いんのう
scrotum

俗にふぐりともいう。男性の性腺である精巣 (睾丸) ,精巣上体 (副睾丸) ,精索を入れるで,皮膚および皮下組織から成り,皮下脂肪をもたない。発生学的には女性の大陰唇に相当する。陰嚢内には隔壁があり,精巣が左右に移動することはない。表面から見ても,陰嚢縫線という縫い目が陰嚢を左右に分けている。陰嚢の皮膚にはひだがあり,多数の皮脂腺と汗腺がある。皮下では3層の筋膜が精巣を包んでおり,このうち提睾筋膜は精巣を上に吊上げる働きをする。急に冷水を浴びたときに陰嚢が縮み上がるのは,この筋膜の作用による。精巣が上下するのはそれ自身の温度調節が目的であり。陰嚢は,精巣を体温より若干低い温度に保つための構造と機能をそなえていると考えられる。

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デジタル大辞泉の解説

いん‐のう〔‐ナウ〕【陰×嚢】

陰茎基部にあって、精巣(睾丸(こうがん))および精巣上体(副睾丸)を入れている袋状のもの。特殊な平滑筋層をもち、その収縮弛緩(しかん)によって温度調節をする。ふぐり。

ふぐり【陰嚢】

金玉(きんたま)。睾丸(こうがん)。いんのう。
松ぼっくり。松かさ。
「橋立の松の―も入り海の波もてぬらす文殊しりかな」〈咄・醒睡笑・五〉

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百科事典マイペディアの解説

陰嚢【いんのう】

精巣(睾丸(こうがん))を包む皮膚の袋。下腹部の皮膚の続きであるが,メラニンに富み,汗腺が多く,皮下脂肪がなくて肉様膜という平滑筋の薄い層がある点で異なる。この筋層の収縮によって陰嚢の皮膚に著しい皺(しわ)が現れ睾丸の温度調整に役立っていると考えられている。発生学的には女性の大陰唇(陰唇)に相当し,男子では左右の部分が癒着したもので,その跡として,表面の正中線に陰嚢縫線(ほうせん)という線条が見られる。
→関連項目外陰部停留睾丸

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

陰嚢
いんのう

男性外陰部の一部分。内部にそれぞれ1対の精巣(睾丸(こうがん))、精巣上体(副睾丸)、精索を含む嚢(のう)状の皮膚で、陰茎根部から下垂している。皮膚は薄く、思春期には色素が増加し暗赤褐色になる。汗腺(かんせん)、脂腺を有し、成人では表面に陰毛が生える。陰嚢正中線に細い高まりの陰嚢縫線(ほうせん)がある。陰嚢皮下には脂肪組織がなく、よく発達している平滑筋線維が縦走しているため、この筋の収縮で皮膚に細かいしわができる。平滑筋線維は寒暖に対して敏感に反応し、絶えず収縮運動を続けている。一般に左側精巣は右側精巣より低いので、陰嚢も左側が低位にある。精巣と精巣上体は胎生初期に腹腔(ふくくう)の背側壁で発生するが、胎生8か月ころになると、腹膜が鞘(さや)状に下方に突出した鞘状突起に沿って陰嚢内へと下降する。なお、鞘状突起は途中が閉鎖してしまうが、それが弱いと腹圧などで腸が陰嚢内に押し出される。これが陰嚢ヘルニアである。陰嚢は女性の大陰唇に相当する。[嶋井和世]

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