2以上の自然数aは素数の積として表すことができる。例えば60は22×3×5と表現することができ,これを素因数分解という。素因数分解のしかたは一とおりである。-1以外の負の整数についても同様に素因数分解を考えることができる。例えば-60の素因数分解は,60の素因数分解に符号をつけ加えて,-60=-22×3×5で与えられる。また整数に限らず多項式に対しても同様の言葉を用いることがある。x1,……,xnの多項式f(x1,……,xn)を既約多項式g1(x1,……,xn),……,gs(x1,……,xn)の積としてf=g1……gsと表すことをfの素因数分解という。有理数係数のときは有理数係数の範囲での分解を考えるのがふつうである。例えば,x2-3は既約多項式である。しかし実数係数の範囲に広げて考えれば,既約でなくなり,x2-3=(x+\(\sqrt{3}\))(x-\(\sqrt{3}\))と分解される。
執筆者:杉江 徹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報