細小血管障害(読み)さいしょうけっかんしょうがい(英語表記)Small vessel disease

六訂版 家庭医学大全科 「細小血管障害」の解説

細小血管障害
さいしょうけっかんしょうがい
Small vessel disease
(代謝異常で起こる病気)

 糖尿病の3大合併症として、細小血管障害の糖尿病網膜症(もうまくしょう)糖尿病腎症(じんしょう)糖尿病神経障害(しんけいしょうがい)があります。

 網膜症を発症する率は、糖尿病の罹病(りびょう)期間が長くなるにつれて高くなり、罹病期間が20年を超えると80%以上になります。網膜症が重症化し視力障害を来す例は最近では年間4000人とされ、成人の中途失明の原因の第2位です。

 糖尿病腎症は、罹病後10年くらいを経て発症してきます。その病期は5期に分けられています。当初は、高血糖のためむしろ糸球体濾過量(しきゅうたいろかりょう)は高く、そのうち尿中に微量アルブミン蛋白の一種)が排泄されるようになり、次第に蛋白尿となります。その後、糸球体濾過量が低下し、血清クレアチニン濃度が上昇し、最終的には腎不全に至り、血液の透析(とうせき)をしないと生きていけない状態になります。現在、年間3万6000人が新たに血液透析が必要になっていますが、糖尿病腎症がその原因の43.6%を占め、1998年以来原因疾患の第1位です。

 糖尿病神経障害は、罹病後5~10年で発症してきます。罹病期間が長くなるにつれて有病率が高くなります。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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