絵事鄙言(読み)かいじひげん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「絵事鄙言」の意味・わかりやすい解説

絵事鄙言
かいじひげん

桑山玉洲の画論書。寛政 11 (1799) 年刊池大雅熊斐 (ゆうひ) を異端とする説に対し,独自の見解から南画正統性を主張した。田能村竹田らのちの南画家に与えた影響は大きい。

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世界大百科事典(旧版)内の絵事鄙言の言及

【画論】より

…西川祐信の《画法彩色法》(1742年刊の《絵本倭比事(わびごと)》所載)には,やまと絵の長所を継承する浮世絵師としての自覚がみられる。桑山玉洲の《玉洲画趣》(1790),《絵事鄙言(ひげん)》(1799)は日本南画を正当づけるため,中国南宗画・文人画の理論を独創的に解釈したものとして注目される。佐竹曙山の《画法綱領》(1778),司馬江漢の《西洋画談》(1799)は,西洋絵画の写実手法を実用性という観点から評価している。…

【桑山玉洲】より

…海運業を営む豪家桑山昌澄の子として生まれ,家業を継ぐが,やがて農業に転向,前半生は開墾事業に従事する。やがて画事に力を入れ,後半生においては《玉洲画趣》や《絵事鄙言(かいじひげん)》などすぐれた画論を著す一方,作画の面でも充実した時期を迎える。玉洲ははじめ沈南蘋の写生画風を独学で学んでいたが,後に池大雅にも師事し,大雅から後期文人画へと移行するいわば過渡的な存在といえる。…

※「絵事鄙言」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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