ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ワレンシュタイン」の意味・わかりやすい解説
ワレンシュタイン
Wallenstein, Albrecht Wenzel Eusebius von
[没]1634.2.25. ボヘミア,ヘバ
ボヘミアの軍人。ボヘミア名ワルトシュテイン Valdšteina。ボヘミアのルター派小貴族の出身。のちカトリックに改宗。三十年戦争の発端となったボヘミアの反乱の鎮圧に武将として活躍。早世した妻の遺産や,功によって神聖ローマ皇帝フェルディナント2世から与えられた鋳貨特権を活用して,没収されたボヘミア新教貴族の所領を買い集め,ボヘミア東北部に大領地を建設。 1623年フリートラント侯として帝国諸侯身分を得た。 25年自己資本で徴募し,みずから統率する大傭兵軍を皇帝に提供,これ以後,J.ティリーとともに三十年戦争における皇帝・旧教軍の最も有力な将軍として活躍した。その政治的野心を恐れるバイエルン公らの策動で,30年にいったん罷免されたが,スウェーデン王グスタフ2世 (グスタフ・アドルフ) の参戦によって再び起用され,リュッツェンの戦いでスウェーデン軍に敗れたが,グスタフ2世を陣没させた。その後,独自に新教諸侯側との和平交渉を進めるなど,専断的な行動が目立ったので,皇帝の刺客の手で暗殺された。企業家的精神と軍事的才幹が結びついたまれにみる大傭兵隊長で,彼の実施した軍税は,三十年戦争ののち,ブランデンブルクなどの絶対主義的君主の新しい租税制度のモデルとなった。またシラーによって傭兵隊長の典型として描かれ,著名となった。
ワレンシュタイン
Wallenstein
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