絵尽し(読み)えづくし

改訂新版 世界大百科事典 「絵尽し」の意味・わかりやすい解説

絵尽し (えづくし)

主題を一応定め,絵ばかりを集めた冊子菱川師宣(ひしかわもろのぶ)の《古今絵づくし》《団扇うちわ)絵つくし》といった類である。浄瑠璃,歌舞伎では,筋書本をかねた一種の絵本番付をさしていう。上方の浄瑠璃を例にとれば,正本(しようほん)の中に当り場面が絵画化されて入り,それだけを抜き出して絵本としたものが売り出されたりしていた。のちには袋入り半紙版十数丁の,筋が追える絵本として初めから企画された。当初のものは絵が大きく,見開き図で1場面または2場面程度のものであったが,のちに吹抜屋台式に俯瞰(ふかん)的に描いて,屋内を襖や壁で仕切り,その各空間に違った場面を描く方式がとられた。小人物像を配して情景を描写する文句や短いせりふを書き込んで説明し,〈大でき大でき〉〈大当り〉といった評判を加えている。また人形の出遣い,出語りのさまや,演者名,演出の仕方,大道具の様子まで描いて,写実的ではないが劇の世界を想像させるものもあった。歌舞伎の場合もだいたい同様の傾向をたどった。
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