綏芬河(読み)すいふんが

日本大百科全書(ニッポニカ) 「綏芬河」の意味・わかりやすい解説

綏芬河
すいふんが / ソイフェンホー

中国、黒竜江(こくりゅうこう)省南東端のロシア連邦との国境にある県級市。2011年省直轄市となった。人口6万8189(2012)。ロシアが敷設した東支鉄道、現在の浜綏(ひんすい)線の終点で、鉄道は国境の低い峠を越えてロシアのグロデコボに通じる。税関、ロシア風の建物、新興の工場などがある。1992年国境経済開放地域となり、2013年からはロシアの通貨ルーブルが通用するようになった。

 同名の河川は、国境の峠や市付近の水をあわせて南流する小綏芬河と、南の森林山(1498メートル)に発して北流する大綏芬河が合流したのちをいう。全長約200キロメートル。東流して東寧(とうねい)を経て鉄道より38キロメートル南で国境を越え、南流してウラジオストク西方のアムール湾に注ぐ。

[浅井辰郎・編集部 2017年7月19日]

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改訂新版 世界大百科事典 「綏芬河」の意味・わかりやすい解説

綏芬河 (すいふんが)
Suí fēn hé

中国東北部,黒竜江省東端の中ロ国境にある県級市。人口3万5000(1994)。浜綏鉄道(ハルビン~綏芬河)の終点。1975年東寧県から分離,市制施行。新興工業都市で紡織酒造,建築材料,食品等の工場がある。もと東支鉄道経由ウラジオストクに通じる鉄道の国境駅であるが,今は国際列車は通じない。ただペレストロイカ以後,ロシア側との国境貿易人民レベルで盛んになった。河川の綏芬河は吉林省東北部の盤嶺に源を発し,北流して黒竜江省に入り,道河で小綏芬河と合し,東寧県城の北を東流してロシア領に入り,日本海に入る。
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