かんしょうさよう
緩衝作用
buffering
鉱物-流体系において,自由度2の化学反応によって,温度,圧力,流体成分のフガシティーやモル分率の間に一定の関係が生じる場合,これを緩衝作用という。例えば温度・圧力一定の条件下で,石英・鉄かんらん石・磁鉄鉱と水溶液が共存する系を考えると,酸素分圧の値は反応3Fe2SiO4+O2=2FeO・Fe2O3+3SiO2によって一定に保たれる。この系が開放系で酸素の出入りがある場合でも,上の反応が右に(酸素が付加されるとき),あるいは左に(酸素が系外に逃げるとき)進むことで,系内の酸素分圧は一定に保たれる。熱水合成実験ではこの原理を応用して酸素分圧の制御が行われ,上の例はQFM bufferと呼ばれる。またH2O-CO2流体と鉱物の系で,次の自由度2の反応CaTiSiO5+CO2=CaCO3+TiO2+SiO2を考える。この系では,チタン石・方解石・石英・ルチルが共存するかぎり,系の状態はP-T-XCO2空間の,上の反応の双変曲面上に束縛される。したがって,温度や圧力が変化すると,反応の進行によって流体の組成(XCO2)も変化することになる。
執筆者:西山 忠男
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報
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緩衝作用
かんしょうさよう
buffer action
溶液に酸または塩基を加えた場合に起る水素イオン濃度の変化をやわらげる作用。一般に弱酸とその強塩基との塩,または弱塩基とその強酸との塩の混合溶液では,緩衝作用が著しい。弱酸 HA とその塩 BA の混合溶液の緩衝作用は,次のように説明される。 HA は HA⇔H++A- のようにわずかに解離するが,一方 BA は強電解質であり,完全に解離して BA→B++A- となるから,この混合溶液中の A- の濃度は塩 BA の濃度によって決ると考えてよい。この溶液に外から H+ が加えられると,加えられた H+ は HA となって除かれるから溶液の水素イオン濃度はほとんど変化しない。また反対に OH- が加えられると,溶液中の H+ は中和されて除かれるが,HA が解離して再び H+ が生じるので,溶液の水素イオン濃度はほとんど変化しない。 (→緩衝溶液 )
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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緩衝作用
水素イオン,水酸化物イオンが流入したときにそれに応答してその濃度を減少させる作用.弱酸はヒドロキシルイオンの流入時にそれを減らす作用を示し,逆に弱塩基は水素イオンが流入したときにそれを減らす作用を示す.酸性塩,塩基性塩も同様の作用を有する.
出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の緩衝作用の言及
【海水】より
…この溶液に炭酸カルシウムを入れてかきまぜると,その溶解によって生じた炭酸イオンが炭酸の解離で生じた水素イオンと反応して重炭酸イオンを形成し,pHはふたたび上昇する。このように炭酸物質の解離・溶解反応によってpHが規制されることを緩衝作用という。この一連の反応を通して,大気の二酸化炭素分圧と海水のpHの間に一定の関係が存在する。…
【血液】より
…(3)血液の酸性度と比重 血液の酸性度(pHで表示)はつねに一定に保たれていて,健康人ではほぼ中性(pH7.4)である。極端に酸性やアルカリ性にならないのは,pHを一定範囲に保とうとするしくみがあるからで,これを緩衝作用という。血液の比重は,男子で1.053~1.059,女子で1.051~1.056である。…
※「緩衝作用」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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