緩衝作用(読み)かんしょうさよう(その他表記)buffer action

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「緩衝作用」の意味・わかりやすい解説

緩衝作用
かんしょうさよう
buffer action

溶液に酸または塩基を加えた場合に起る水素イオン濃度の変化をやわらげる作用。一般に弱酸とその強塩基との塩,または弱塩基とその強酸との塩の混合溶液では,緩衝作用が著しい。弱酸 HA とその塩 BA の混合溶液の緩衝作用は,次のように説明される。 HA は HA⇔H++A- のようにわずかに解離するが,一方 BA は強電解質であり,完全に解離して BA→B++A- となるから,この混合溶液中の A-濃度は塩 BA の濃度によって決ると考えてよい。この溶液に外から H+ が加えられると,加えられた H+ は HA となって除かれるから溶液の水素イオン濃度はほとんど変化しない。また反対OH- が加えられると,溶液中の H+ は中和されて除かれるが,HA が解離して再び H+ が生じるので,溶液の水素イオン濃度はほとんど変化しない。 (→緩衝溶液 )

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栄養・生化学辞典 「緩衝作用」の解説

緩衝作用

 水素イオン,水酸化物イオンが流入したときにそれに応答してその濃度を減少させる作用.弱酸はヒドロキシルイオンの流入時にそれを減らす作用を示し,逆に弱塩基は水素イオンが流入したときにそれを減らす作用を示す.酸性塩塩基性塩も同様の作用を有する.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の緩衝作用の言及

【海水】より

…この溶液に炭酸カルシウムを入れてかきまぜると,その溶解によって生じた炭酸イオンが炭酸の解離で生じた水素イオンと反応して重炭酸イオンを形成し,pHはふたたび上昇する。このように炭酸物質の解離・溶解反応によってpHが規制されることを緩衝作用という。この一連の反応を通して,大気の二酸化炭素分圧と海水のpHの間に一定の関係が存在する。…

【血液】より

…(3)血液の酸性度と比重 血液の酸性度(pHで表示)はつねに一定に保たれていて,健康人ではほぼ中性(pH7.4)である。極端に酸性やアルカリ性にならないのは,pHを一定範囲に保とうとするしくみがあるからで,これを緩衝作用という。血液の比重は,男子で1.053~1.059,女子で1.051~1.056である。…

※「緩衝作用」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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