繁・茂・稠・蕃(読み)しげし

精選版 日本国語大辞典 「繁・茂・稠・蕃」の意味・読み・例文・類語

しげ・し【繁・茂・稠・蕃】

〘形ク〙 (室町時代から近世にかけては口語形「しげい(繁)」も用いられた。→しげい(繁))
草木など、葉が茂り重なって多い。草木などが密生している。
万葉(8C後)一四・三三九六「小筑波の之気吉(シゲキ)木の間よ立つ鳥の目ゆか汝(な)を見むさ寝ざらなくに」
源氏(1001‐14頃)蓬生「しげき草、よもぎをだに、かき払はむものとも」
② 数量が多い。たくさんある。豊富である。また、豊かである。
※続日本紀‐天平勝宝元年(749)七月二日・宣命「食国天下を恵み賜ひ治め賜ふ間に、万機(よろづのまつりごと)(しげク)多くして、御身敢へ賜はずあれ」
※源氏(1001‐14頃)帚木「蛍しげくとびまがひて、をかしきほどなり」
③ 回数が多い。たび重なる。絶え間がない。しきりである。
※万葉(8C後)一七・四〇一九「あまざかる鄙(ひな)ともしるくここだくも之気伎(シゲキ)恋かも和(な)ぐる日もなく」
蜻蛉(974頃)下「そのままに、八月廿余(よ)日までみえず。きけば、れいの所にしげくなんときく」
④ あまり多くてわずらわしい。うるさい。くだくだしい。他の人が見、聞き、話すことのわずらわしさをいとう気持にいう。
※万葉(8C後)一二・二八五二「人言の繁(しげき)時には吾妹子し衣(ころも)にありせば下に着ましを」
※源氏(1001‐14頃)帚木「人目しげからむ所に、びんなき振舞やあらはれむ」
⑤ 込みあっている。密集している。
※源氏(1001‐14頃)夕顔「隣しげく、咎むる里人多く侍らんに」
※百座法談(1110)三月四日「人しげからむ時には、えまじらじ」
しげ‐げ
〘形動〙
しげ‐さ
〘名〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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