暦法の一つ。暦の基本周期である朔望(さくぼう)月は29.530589日、太陽年は365.242199日で、日の端数がある。暦法はこの端数を切り捨て・切り上げて1日の整数倍とし、それぞれ29日・30日の暦月、365日・366日の一暦年とする。太陰暦法では大月30日、小月29日を交互に12回繰り返すと、その総日数は354日となるが、12朔望月(一太陰年)の日数は354.36706日であり、その差は0.36706日、三太陰年でほぼ1日に達する。厳密には30年間で11日となるので30年間に11回、小月を大月とし、一暦年を355日とする。太陰太陽暦法では一太陰年は一太陽年と10.87514日違う。月の満ち欠けで日を数えて12か月たつと季節は10日または11日遅れることになる。この場合、ほぼ32~33か月で1か月を挿入して、一暦年を13か月にすることで、月の満ち欠けと季節の関係を元に戻すことができる。メトン法、中国の章法はこの置閏法の例である。
太陽暦法では太陽年の端数0.242199日は四暦年でほぼ1日に達するから、4年ごとに1日を加え、一暦年を366日にする。ユリウス暦はこの例である。このように朔望月太陽年の日の端数を調節して1日・1月を挿入して暦年暦月の平均の長さを太陽年、朔望月の長さに近づける法を置閏法という。挿入される1日・1月を閏日(うるうび)、閏月と称し、閏日・閏月を含む年を閏年という。置閏法のいかんによって太陰暦法、太陰太陽暦法、太陽暦法に多種多様の暦法が生ずることになる。
[渡辺敏夫]
…日和見【和田 正洲】
【中国の暦】
中国最古の王朝として知られる殷代には,その晩期の都であった安陽から多数の甲骨片が発掘され,それに刻まれた甲骨文の研究によって前1300年のころから太陰太陽暦が使用されていたことが立証された。当時は閏月をどのように置くかという置閏(ちじゆん)法が十分に確立しておらず,季節のずれが目だってくると閏月を置き,しかもいずれも年末に置いて13月と呼んだ。しかし時代の経過とともに暦はしだいに改良され,前5世紀ころには19年間に7個の閏月を置く方法が考案された。…
※「置閏法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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