置閏法(読み)ちじゅんほう

精選版 日本国語大辞典 「置閏法」の意味・読み・例文・類語

ちじゅん‐ほう‥ハフ【置閏法】

  1. 〘 名詞 〙 暦の周期ごとに出る一日以下の端数が蓄積して暦が狂うのを防ぐための方法。日単位の閏(うるう)日、または月単位の閏月をもうけ端数を修正するもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「置閏法」の意味・わかりやすい解説

置閏法
ちじゅんほう

暦法の一つ。暦の基本周期である朔望(さくぼう)月は29.530589日、太陽年は365.242199日で、日の端数がある。暦法はこの端数を切り捨て・切り上げて1日の整数倍とし、それぞれ29日・30日の暦月、365日・366日の一暦年とする。太陰暦法では大月30日、小月29日を交互に12回繰り返すと、その総日数は354日となるが、12朔望月(一太陰年)の日数は354.36706日であり、その差は0.36706日、三太陰年でほぼ1日に達する。厳密には30年間で11日となるので30年間に11回、小月を大月とし、一暦年を355日とする。太陰太陽暦法では一太陰年は一太陽年と10.87514日違う。月の満ち欠けで日を数えて12か月たつと季節は10日または11日遅れることになる。この場合、ほぼ32~33か月で1か月を挿入して、一暦年を13か月にすることで、月の満ち欠けと季節の関係を元に戻すことができる。メトン法、中国の章法はこの置閏法の例である。

 太陽暦法では太陽年の端数0.242199日は四暦年でほぼ1日に達するから、4年ごとに1日を加え、一暦年を366日にする。ユリウス暦はこの例である。このように朔望月太陽年の日の端数を調節して1日・1月を挿入して暦年暦月の平均の長さを太陽年、朔望月の長さに近づける法を置閏法という。挿入される1日・1月を閏日(うるうび)、閏月と称し、閏日・閏月を含む年を閏年という。置閏法のいかんによって太陰暦法、太陰太陽暦法、太陽暦法に多種多様の暦法が生ずることになる。

[渡辺敏夫]

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世界大百科事典(旧版)内の置閏法の言及

【暦】より

日和見【和田 正洲】
【中国の暦】
 中国最古の王朝として知られる殷代には,その晩期の都であった安陽から多数の甲骨片が発掘され,それに刻まれた甲骨文の研究によって前1300年のころから太陰太陽暦が使用されていたことが立証された。当時は閏月をどのように置くかという置閏(ちじゆん)法が十分に確立しておらず,季節のずれが目だってくると閏月を置き,しかもいずれも年末に置いて13月と呼んだ。しかし時代の経過とともに暦はしだいに改良され,前5世紀ころには19年間に7個の閏月を置く方法が考案された。…

※「置閏法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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