国指定史跡ガイド 「美濃国府跡」の解説
みのこくふあと【美濃国府跡】
岐阜県不破(ふわ)郡垂井(たるい)町府中にある国府跡。濃尾(のうび)平野の西端に位置する古代美濃国の国府跡で、東西約400m、南北約430mの範囲である。国府の中心である政庁の遺構については3期の変遷があり、桁行5間、梁間2間と推定される身舎(もや)(母屋)に四面庇がめぐる正殿を中心として、東西に脇殿が配されている。ほかに、北、東、南面の区画塀や政庁跡南側に延びる幅約18mの南北道路の側溝、政庁の東に広がる官衙(かんが)施設などが発掘されている。また、硯や墨書土器、緑釉陶器など、美濃国府が機能していた8世紀中ごろ~10世紀中ごろの遺物が数多く出土している。主要な施設の配置関係がほぼ判明して遺構の残存状況も良好であり、国府の造営や変遷、政治情勢を知るうえでもこの国府跡は重要である。2006年(平成18)に国の史跡に指定された。JR東海道本線垂井駅から徒歩約15分。