老婦人の夏(読み)ろうふじんのなつ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「老婦人の夏」の意味・わかりやすい解説

老婦人の夏
ろうふじんのなつ

中部ヨーロッパで、9月下旬から10月初めのころ現れる顕著な夏の戻りの現象。霞(かすみ)や霧がかかり、温暖な晴天が続く。ドイツ語ではAltweibersommer、英語ではold wives' summerという。「老婦人の夏」の語源として、小春日和(こはるびより)にクモの糸が日差しに輝いて老婦人Altweiberの白髪のように見えるからという説もある。老婦人の夏は顕著な特異日現象で、9月28日から10月2日までの5日間にもっともよく現れる。このとき中部ヨーロッパは、東欧に中心をもった高気圧から吹き出す南東の気流下に入る。アメリカでは秋の中ごろや晩秋に霜の降りるような寒さの後に現れる小春日和の天気をインディアンサマーとよんでいる。同じような現象ではあるが、老婦人の夏のほうが1か月以上早い。

根本順吉青木 孝]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の老婦人の夏の言及

【インディアン・サマー】より

…毎年きまって出現するわけではないが,北アメリカでは10月ないし11月初旬,ヨーロッパでは9月下旬に起こる傾向がある。ドイツ語では〈老婦人の夏Altweibersommer〉,ロシア語では〈婦人の夏bab’e leto〉と呼ぶ。なお聖ルカ祭(10月18日)のころの秋晴れを〈聖ルカの夏St.Luke’s summer〉,万聖節(11月1日)のころの秋晴れを〈万聖節の夏All Saints’ summer〉,聖マルティヌス祭(11月11日)のころの秋晴れを〈聖マルティヌスの夏St.Martin’s summer〉と呼ぶ。…

【日本列島】より

…小春とは陰暦10月の別称で,新暦の11月から12月初めにあたる。同じような日和を英米ではインディアン・サマーIndian summer,中欧・北欧では老婦人の夏(たとえばドイツ語ではAltweibersommer)などと呼ぶ。 時雨(しぐれ)晩秋から初冬にかけて晴れたかと思うとまた曇り,曇ったかと思うとまた晴れるような空模様のとき,ときおり断続して降る雨をいう。…

※「老婦人の夏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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