改訂新版 世界大百科事典 「耐火断熱材」の意味・わかりやすい解説
耐火断熱材 (たいかだんねつざい)
insulating refractory material
耐火物特性を有する断熱材で,耐火断熱煉瓦insulating fire brickと軽量キャスタブル耐火物(〈キャスタブル耐火物〉の項参照)がある。窯炉の最高温部に耐火煉瓦を使用し,その外側に耐火断熱材を用いて,熱エネルギーの発散を少なくする。耐火断熱材の熱伝導率は耐火物の1/5~1/10と小さい。断熱性を与えるには密閉した気孔が最も有効であり,一般にシリカSiO2-アルミナAl2O3系の耐火原料を人工的に多孔質化したものを原料として製造されるが,天然のケイ藻土はそのまま煉瓦形状に切り出して使用される高シリカ質の耐火断熱材である。JISでは,耐火断熱煉瓦をA類(軽量を主眼に強度の小さいもの),B類(A類より重いが強度のある一般的なもの),C類(強度は強いが熱伝導率のやや高いもの)に,また,軽量キャスタブル耐火物を煉瓦と同じようにA類とB類に大別している。耐火断熱煉瓦にはこのほか,バブル(中空)アルミナ粒子を用いたもの(1700℃以上耐用)や,マグネシア質,マグクロ質,ジルコニア質,炭化ケイ素質などのものも製造され,高温断熱材料として特殊な用途に用いられている。耐火断熱材の特徴は耐火性と断熱性であるが,強度が弱いのが欠点である。
執筆者:西川 泰男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報