病理学的に細胞や組織の機能亢進(こうしん)に基づく病変を進行性病変とよぶが、肉芽組織もこれに属する。なお、医学では習慣的に「にくげそしき」とよぶことが多い。組織に創傷などの物質欠損が生じた場合、その部にいわゆる「肉が上がってくる」と表現される鮮紅色の軟らかい組織が新生されることは、日常的に経験されるが、肉芽組織とは、この新生された組織のことである。組織学的にみると、肉芽組織は毛細血管に富む若い結合組織で、線維芽細胞、組織球、さまざまな白血球、リンパ球、形質細胞といった多種の細胞成分が関与している。また、肉芽組織は再生力の不十分な組織にかわって欠損部位を補填(ほてん)するために生ずるほか、生体の外部から移入された、あるいは生体内で形成された異物を処理する機転の反応として生ずることもある。肉芽組織が、異物を取り囲むように発生すれば被包とよび、異物に置き換わってしまうようであれば器質化という。さらに、肉芽組織は慢性炎症の場合にもたびたび形成される。肉芽組織は、古くなると線維化が著明となり、硬い灰白色の瘢痕(はんこん)となり、収縮をおこして、表面はへこんで認められるようになる。
[渡辺 裕]
…この痂皮をはがしてみると,下にはザクロの実のような桃色の顆粒状の盛上りがある。これを肉芽または肉芽組織granulation tissueという。盛んに増殖しつつある柔らかい血管に富む若い結合組織で,創面の壊死性組織を吸収し,欠損部を埋め,繊維化をおこす,創傷治癒にとってきわめて重要な組織である。…
※「肉芽組織」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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