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熱傷(やけど)、切り傷、交通事故などの外傷あるいは皮膚病によって、真皮ないし皮下組織に達する組織欠損が生じたあとの皮膚に肉芽組織ができ、その上を表皮が覆って治癒した状態をいう。形態上から、扁平(へんぺい)な瘢痕、盛り上がっている瘢痕(ケロイド)、ひきつれ(拘縮)を生じて変形や機能障害をおこしている瘢痕などに分けられる。組織学的には表皮は平坦(へいたん)化し、真皮には波状を呈する太い膠原(こうげん)線維がみられ、高度のものでは毛包や汗腺(かんせん)などの皮膚付属器が失われている。瘢痕形成術に際しては、ほとんどの瘢痕は10年くらいの間には自然にある程度目だたなくなる傾向があるため、やたらに手術を急ぐことは好ましくない。小さな瘢痕は切除縫合で治癒する。線状瘢痕では、術後の縫合を1本の直線にするよりは、ジグザグした線になるようにしたほうが傷あとが目だたなく、とくに顔面ではこの方法が用いられる。拘縮を生じている瘢痕には植皮術あるいはZ形成術が用いられる。広範な瘢痕には植皮が行われるが、3、4年もすれば植皮片がその部位になじんで植皮したことがわからなくなる。顔面の各部位に対する理想的な植皮片の選び方の原則は、皮膚の厚さ、皮膚のもっている機能(皮脂腺や汗腺、血管の特性)などを十分考慮することである。すなわち、上下眼瞼(がんけん)(まぶた)には耳の後ろや上腕内側の皮膚が、ほおやあごには鎖骨付近の皮膚が用いられるが、額にはどこの皮膚でもかまわない。
[池田重雄]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…(2)糜爛(びらん)erosion 皮膚の欠損が表皮内にとどまるもので,表皮内水疱が破れたあとのただれた状態をいう。欠損部は表皮が再生して,瘢痕(はんこん)を残すことなく治る。(3)潰瘍ulcer 皮膚の欠損が真皮にまで及ぶもので,治るときには欠損部が肉芽組織により埋められ瘢痕を残す。…
※「瘢痕」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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