肺の先天性形態異常(読み)はいのせんてんせいけいたいいじょう

家庭医学館 「肺の先天性形態異常」の解説

はいのせんてんせいけいたいいじょう【肺の先天性形態異常】

 肺分画症(はいぶんかくしょう) 正常な肺は、からだに酸素をとりこむため、心臓の右の心室から出る肺動脈から血液が送られ、血液に酸素を与えます。しかし、この病気では、左の心室から出た動脈から、酸素を含んだ血液が肺の一部に流れてきています。
 このため肺の中に、血液に酸素を与え、かわりに二酸化炭素を排出させるという肺としてのはたらきができない部分ができています。この正常な肺組織とはちがう組織は、肺葉(はいよう)の中にある場合と、肺葉の外にある場合があります。
 正常な機能をしていないので、細菌が繁殖し、肺炎をおこしやすい状態にあります。肺炎をくり返す子どもの場合、この病気のことも考えなければなりません。治療は、この独立した部分を手術で除去します。
 肺葉性肺気腫(はいようせいはいきしゅ) 肺の中の1つの肺葉(はいよう)が、風船のようにふくらんで、ほかの肺葉を圧迫するため、呼吸ができなくなる病気です。
 ほとんどの場合、新生児期に発病して死亡しますが、まれに大きくなってから、膿(うみ)がたまったりして見つかる場合もあります。
 その他の先天性形態異常 肺のリンパ管が拡張して呼吸機能を損なう先天性肺(せんてんせいはい)リンパ管拡張症(かんかくちょうしょう)や、肺が形成されていないもの、気管の粘膜細胞が風船のような嚢胞(のうほう)をつくって、正常な肺を圧迫する気管支嚢胞(きかんしのうほう)などがあります。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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