風船(読み)ふうせん

日本大百科全書(ニッポニカ)「風船」の解説

風船
ふうせん

紙、ゴムビニル製などのの中に空気または水素ガスを入れ、これを手でついたり、空中へ飛ばして遊ぶ玩具(がんぐ)。

 ゴム風船は、水素ガスなどを詰めて空中に飛ばす。日本では、1868年(明治1)横浜で中国商人が売り出したのが最初といわれる。同年神戸でも「ゴムいか」(いかは凧(たこ)の関西での呼び名)の名で売られたという。大阪でもイギリス人の開業医ハルトリーが、やはりこれをつくって売り、大いに利を得たという。国産のゴム風船は、1875年(明治8)東京の旧開成学校の物理教師市川盛三郎が、赤ゴムの小球に水素ガスを満たして飛揚させたのが初めで、翌年から縁日の露店などで子供の玩具として売り出され流行した。当時は球凧(たまだこ)、ふくれ玉ともよばれ、あるいはコンペイともいった。87年ごろからゴム風船に竹笛をつけた「ゴム毬笛(まりぶえ)」が登場した。これは笛の管から息を吹き込んで、ゴム風船を膨らませてから口を離し、空気を排出させると、それにつれて仕掛けた笛が鳴り続ける。管には彩色したニワトリの羽根飾りがついているので「毛笛」ともいい、現在でも縁日の露店や小物玩具店などにみられる。明治末期には、ゴム地に絵や文字を彩色する方法も発明された。大正時代には第一次世界大戦の影響で好況を迎えて生産が増大し、1917年(大正6)には50万グロスも輸出した。現在はテレビ番組や漫画の主人公などを扱ったキャラクターものなどに人気があり、そのほかスポーツの祭典、商品の売り出しサービスなどにも利用され広く使われている。

 紙風船は、紙手鞠(てまり)、空気玉ともいう。色紙を花びら形に切って張り合わせた球で、吹き口の小穴から息を吹き込んで丸く膨らませ、突き上げたりして遊ぶ。1891年(明治24)ごろから流行し、のちには鈴入りのものもつくられた。子供の遊び道具のほか、運動会や室内装飾などに利用される。

[斎藤良輔]

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精選版 日本国語大辞典「風船」の解説

ふう‐せん【風船】

〘名〙
気球軽気球
※航米日録(1860)三「一は風船なり、是極めて奇功なれども、実用に用ゆべからず」
② 紙または薄いゴムでつくり、空気または水素などを入れて球状にふくらまし、それを手でついたり空に飛ばしたりする玩具。風船玉。《季・春》
坊っちゃん(1906)〈夏目漱石〉一〇「花火の中から風船が出た」

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デジタル大辞泉「風船」の解説

ふう‐せん【風船】

紙・ゴムなどで作った球状の袋に、空気または水素ガスをつめてふくらませた玩具。手でついたり飛ばしたりして遊ぶ。風船玉。 春》
気球。軽気球。
「—の中央乗ちゅうのり。見物の肝胆きもだまさむからしむ」〈魯文西洋道中膝栗毛

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世界大百科事典 第2版「風船」の解説

ふうせん【風船】

気球や軽気球を風船ということがあるが,一般にはゴムやビニル,紙製の球に空気や水素ガスなどを入れた玩具のことで,手で突いたり,空中へ飛ばして遊ぶ。おもちゃの風船を風船玉とも呼ぶ。ゴム風船は,1868年(明治1)横浜で中国商人が最初に売りだした。神戸でも〈ゴムいか〉の名で売られ,大阪ではイギリス人の開業医ハルトリーがやはりこれをつくって売ったという。国産では75年(明治8),旧開成学校の物理教師市川盛三郎が赤ゴムの小球に水素ガスをつめて飛揚させたのが始まりで,翌76年から子どもの玩具として売りだされるようになり,明治20年代にはゴム風船に竹笛を装置した〈ゴム毬笛〉も登場した。

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