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能力説 のうりょくせつability-to-pay principle

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

能力説
のうりょくせつ
ability-to-pay principle

応能説ともいう。納税者はその支払能力に応じて納税すべきであるとする租税原則に関する理論で,利益説 (応益説) に対するもの。能力説は国家が納税者に与える便益とは関係なく,租税を国民から強制的に徴収すべき性質のものとみなし,国民の負担能力もしくは支払能力に応じて租税を賦課することを主張する。 J.ボーダンのように能力に基づく比例課税も主張されたが,19世紀後半以降は J.S.ミル犠牲説を皮切りに,所得もしくは財産を課税標準とする累進的な直接税体系が支持されるにいたっている。能力説を支持する者には,公共支出を個人の評価には服しない「共同善」を目標とするものとして集合的統一体における社会的価値基準を根拠とする A.ワグナーの主張があるが,ミルは同じく「共同善」のための納税の必要を説きながら,個人的犠牲の平等を唱えることにより,F.Y.エッジワース,A.C.ピグーらの限界効用理論に道を開いた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典内の能力説の言及

【外形標準課税】より

…しかし,国や地方公共団体の提供する財やサービスが企業の生産活動に不可欠であるとすれば,それに対応する租税負担もまた黒字企業によってのみならず,赤字企業によっても負担さるべきであろう。外形標準課税は支払能力を間接的に推定させるという点では能力説によって根拠づけることができるが,赤字企業といえども公共サービスの便益を受けているのだからその負担もすべきであるという点では,利益説によっても正当化できる。【林 正寿】。…

【租税】より

…しかし1978年秋の石油危機以降では,租税原則としてどの学者も無視できない原則は,〈公平〉と〈効率〉という二つの原則である。
【租税の哲学―利益説と能力説】
 租税は人類の歴史のなかでつねに政治的紛争の中心となっている。イギリスの名誉革命やフランスの大革命では,課税についての人民の同意原則,つまり租税承諾権が成立し,アメリカ革命でも不当な税に対する紛争が大きな役割を演じた。…

【租税理論】より

…すなわち,市場が分配の公正や資源配分の効率性等の国民経済にとって,どの程度の機能を発揮し,いかなる意味での限界を有するかを明らかにしたうえで,それを克服するためにどのような手段と方法によって課税すべきかを検討するものである。公正な分配との関係における最適課税の問題は,学説史的にはJ.S.ミル,F.Y.エッジワース,A.C.ピグーらによって代表される〈能力説〉にその萌芽を見いだしうる。この能力説は,等しい能力をもつ人々は等しく支払うべきであるという〈水平的公平〉と,大きい能力をもつ人々が多く支払うべきであるという〈垂直的公平〉の達成を要求している。…

※「能力説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

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