ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「能力説」の意味・わかりやすい解説
能力説
のうりょくせつ
ability-to-pay principle
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…しかし,国や地方公共団体の提供する財やサービスが企業の生産活動に不可欠であるとすれば,それに対応する租税負担もまた黒字企業によってのみならず,赤字企業によっても負担さるべきであろう。外形標準課税は支払能力を間接的に推定させるという点では能力説によって根拠づけることができるが,赤字企業といえども公共サービスの便益を受けているのだからその負担もすべきであるという点では,利益説によっても正当化できる。【林 正寿】。…
…しかし1978年秋の石油危機以降では,租税原則としてどの学者も無視できない原則は,〈公平〉と〈効率〉という二つの原則である。
【租税の哲学―利益説と能力説】
租税は人類の歴史のなかでつねに政治的紛争の中心となっている。イギリスの名誉革命やフランスの大革命では,課税についての人民の同意原則,つまり租税承諾権が成立し,アメリカ革命でも不当な税に対する紛争が大きな役割を演じた。…
…すなわち,市場が分配の公正や資源配分の効率性等の国民経済にとって,どの程度の機能を発揮し,いかなる意味での限界を有するかを明らかにしたうえで,それを克服するためにどのような手段と方法によって課税すべきかを検討するものである。公正な分配との関係における最適課税の問題は,学説史的にはJ.S.ミル,F.Y.エッジワース,A.C.ピグーらによって代表される〈能力説〉にその萌芽を見いだしうる。この能力説は,等しい能力をもつ人々は等しく支払うべきであるという〈水平的公平〉と,大きい能力をもつ人々が多く支払うべきであるという〈垂直的公平〉の達成を要求している。…
※「能力説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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