家庭医学館 「腎形態異常のいろいろ」の解説
じんけいたいいじょうのいろいろ【腎形態異常のいろいろ】
いずれも、母親のおなかの中で、腎臓ができてくる途中でおこります。
①数および大きさの異常
腎臓は左右1個ずつあり、後腹膜腔(こうふくまくくう)という空間の、第11胸椎(きょうつい)から第3腰椎(ようつい)の間にあって、右のほうが約1.5cm低い位置にあります。
1個の腎臓がまったく形成されない腎無形成(じんむけいせい)や、形成されたけれども、大きさや形が小さい腎低形成(じんていけいせい)という異常があります。
もし、両側の腎臓が異常であれば、生後まもなく尿毒症(にょうどくしょう)で死亡します。
②形態そのものの異常
胎児(たいじ)である初期に、左右の腎臓が融合してしまうことがあります。できあがった形によって、馬蹄鉄腎(ばていてつじん)、融合性骨盤腎(ゆうごうせいこつばんじん)(ケーキ腎、ランプ腎)、交叉性融合腎(こうさせいゆうごうじん)(S型腎、L型腎)と呼ばれています。
このなかでは、馬蹄鉄腎がもっとも多くみられ、異常なものの90%が下の端で融合しています。
形態異常のある腎臓では、尿の停滞がおこりやすく、水腎症(すいじんしょう)や腎臓結石(じんぞうけっせき)、感染症を合併することがあります。
③位置の異常
胎児のときに、腎臓は腎盂(じんう)面を脊柱(せきちゅう)のほうに向けるように回転しながら上昇し、妊娠の第8~9週に、正常な位置に達します。
このとき、正常に回転しない回転異常腎(かいてんいじょうじん)や、上昇がおこらない腎変位(じんへんい)(骨盤腎(こつばんじん))といった異常がおこります。
位置の異常や、回転の異常があっても、なんらかの症状がなければ、ほとんど見つからずに、一生を終わってしまいます。