腱損傷(読み)けんそんしょう(その他表記)tendon injury

改訂新版 世界大百科事典 「腱損傷」の意味・わかりやすい解説

腱損傷 (けんそんしょう)
tendon injury

外力などによって,腱に断裂などの損傷をきたすこと。は筋肉の収縮力を骨格系に伝える強靱な繊維の束なので,これが損傷をうけると運動に支障をきたす。完全に断裂すると筋肉の力がまったく作用できなくなるから,その筋肉の働く運動のみが不可能になる。このことは逆にどの腱が切れているかを診断するのに役に立つわけである。腱損傷は直接の外力(刃物で切る,ガラスの中に突っ込むなど)で切れることも多いが,関節の安定性に破綻(はたん)を生ずるような力が間接的に作用して断裂すること,つまり瞬間的な急激な筋収縮で切れることもある(アキレス腱断裂など)。また炎症に腱組織が侵されて切れたり(慢性関節リウマチの指の腱断裂),老化変性によるもの(肩の腱板断裂)もある。損傷した腱は断端を(手術による縫合をも含めて)近接させておけば,間隙は幼若結合組織で埋まって瘢痕はんこん)となり,やがて元の腱様組織にかわる。この場合,力の伝達のために緩まぬこと,多数腱断裂では相互断端をまちがえぬことが重要である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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