自動車総量規制(読み)じどうしゃそうりょうきせい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「自動車総量規制」の意味・わかりやすい解説

自動車総量規制
じどうしゃそうりょうきせい

大都市の交通問題を解決するための交通規制の一施策。1975年(昭和50)に警察庁が、札幌、東京、川崎、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、北九州および福岡の十大都市に対して、自動車交通総量の1割削減計画を打ち出したという事例がある。

 第二次世界大戦後、モータリゼーションの進行によって自動車の保有台数が飛躍的に伸びた。しかしこれに対して道路の拡充がまにあわず、都市部を中心にして、交通事故、大気汚染騒音振動などの公害問題が深刻になったことがその背景にある。

 自動車総量規制を成功させるためには、(1)バス優先対策として、路線新設、バスの増発、運行時間・運行系統の合理的再編成、(2)生活ゾーン対策として、歩道ガードレールの設置などの道路整備、(3)物流合理化のために、共同配送化、交錯輸送(同一物資が産地間で交差的に輸送されること)・片荷輸送・不定時輸送の改善、などが必要であるとされた。

 現在ではこのことばが用いられることは少なく、新たな政策コンセプトとして交通需要マネジメントが重視されるようになっている。

[竹内健蔵]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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