(1)自動車が道路わきへ飛び出したり、崖(がけ)下に転落する危険を防ぐために、路側(ろそく)や歩道・車道の境界や高速道路の中央帯に設ける防護柵(さく)の一種。防護柵には、ガードレール、ガードパイプ、ボックスビーム、ガードケーブル、オートガードなど各種のものがあるが、ガードレールはW形の断面をもった金属製ビームを支柱に取り付けたものである。他の形式に比べ、設置が容易であり、もっとも信頼がおけるので、現在、日本でごく一般的な防護柵であり、防護柵の代名詞にもなっている。自動車運転者の視線を誘導する役目を果たすよう明るい色で塗られており、誤って車が接触したときは、レールと支柱がともに変形して車体の衝突エネルギーを吸収し、車を元の車道に押し返す作用をする。このような安全性の検討によりガードレールの設置基準が定められているが、ガードレールに付着した金属片による事故等がきっかけとなり、2008年(平成20)にガードレールの安全性に関する考え方が改められ、防護柵設置基準が改正された。
(2)鉄道では、車両の脱線防止、車輪フランジ(輪縁)通過部分の確保、レールの摩耗防止などを目的として、本線レールの内側に並列して一定の間隔を保って敷設したレールをガードレールという。国鉄(現、JR)の軌道構造基準規程では、ガードレールの種類として、敷設する場所、目的により次のように分類している。すなわち、脱線防止レール、安全レール、橋上ガードレール、踏切ガードレール、ポイントガードレールの五つがある。これらのガードレールは、ポイントガードを除きすべて普通のレールを用いているが、2000年の帝都高速度交通営団(現、東京地下鉄)日比谷線列車脱線事故を契機として、山形鋼を材料とした脱線防止ガードという新しい構造のものを敷設するようになった。
[吉川和広・小林潔司]
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