自律・他律(読み)じりつたりつ(その他表記)Autonomie ドイツ語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「自律・他律」の意味・わかりやすい解説

自律・他律
じりつたりつ
Autonomie ドイツ語
Heteronomie ドイツ語

人間の行為において、その行為が、感覚的衝動であれ、あるいは他人意向であれ、自ら意志によって律せられていない場合、その行為を他律的行為という。反対に、自らの意志あるいは理性によって行為が律せられている場合、それを自律的行為という。他律は、したがって、なんらかの意味での隷属につながり、一方、自律は、人格自発性ないし自由の実現とほぼ同義語となる。理性が自ら立法した道徳的法則に進んで従うところに、自由と自律の実現をみ、それだけが真の意味での道徳的行為ないし志操(しそう)の名に値する、と説いたカント以来、自律の問題は、つねに良心の問題に密接に関連する。

[坂部 恵]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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