翻訳|synonym
同一言語内で二つ以上の(語)形が同じ意味をあらわすと考えられる場合に,それらを同義語(または同意語)という。一般に形が違えば意味も異なるという想定に立てば,完全な同義語は言語学的に存在しないといえる。しかし明らかに別個の2語が,ある文脈ではまったく同義に用いられる場合がある。たとえば〈めくる〉と〈まくる〉とか,英語のpaperとarticleは〈論文〉の意味ではかなり接近している。また感情的には違うが知的・概念的にはほぼ等しいと思われる語は数多く認められる。〈大きい〉と〈でっかい〉,〈非常に〉と〈とても〉などがそれだが,その関係は〈あした〉と〈明日〉,〈戦い〉と〈戦争〉のような対にも見いだされる。〈ピンポン〉と〈卓球〉,〈ラーメン〉と〈中華そば〉などでは,これらの外来語と日本語はほとんど差別がない。英語のように多くの借用語(外来語)を過去に受け入れた言語でも,同じような現象がみられる。たとえばideaとthought,ascendとgo up,descendとcome downである(前者はギリシア・ラテン語系,後者はゲルマン語系)。ドイツ語でもgleichgültig〈どちらでもよい,どうでもよい〉とegal,alltäglich〈平凡な〉とbanal,einschreiben〈書留にする〉とrekommandierenのように,フランス語系の語彙(後者)が同義語として共存している。
執筆者:風間 喜代三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
意味が同じか、非常に近い語。同意語、類義語ともいう。いかなる文脈で交換しても、文意も文の自然さも変わらないものを完全な同義語というが、そういう同義語はほとんど存在しない。まったく同じ意味の語を二つもつのは言語としてむだであるから、当然なことである。一般にいわれる同義語は、意味がほぼ同じ語、つまり類義語をさしているのが普通である。
普通には、意味がはっきり異なっていて、特定の文脈においてのみ同義になる語を「文脈的同義語」という。「医者に診てもらう」「医者に診察してもらう」の「診る」と「診察する」がその一例である。
同義語間の意味のずれ方にはいくつかの種類がある。(1)語義的意味 「めくる・まくる」「急に・たちまち」「ご飯・ライス」のように、中心的意味自体が異なる場合。(2)文体差 語義的な意味は同じでも、文体的な特徴が異なるもので、「本・書物」「あした・明日(みょうにち)」のように日常語対文章語の違い、「めし・ご飯」「うまい・おいしい」のように下品語対上品語の違い、「写真機・カメラ」「状袋・封筒」のように古めかしい語対現代語の違いなどがある。(3)喚情的な差 「政治家・政治屋」「お婆(ばあ)さん・ばばあ」「先生・先公」のように普通語対軽蔑(けいべつ)語の違いがある場合。(4)待遇的な差 「食べる・召し上がる」などの普通語対敬語の違いがある場合。
このほか広義では「乗り物・自動車」「花・菊」などの上位語・下位語の関係も類義のなかに含められる。
[国広哲弥]
『国広哲弥著『意味論の方法』(1982・大修館書店)』
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