日本大百科全書(ニッポニカ) 「自然林」の意味・わかりやすい解説
自然林
しぜんりん
通俗的に用いられる語で、人工林に対比される。森林の造成や保育にほとんど人の手が加わらず、天然に成立した森林を天然林というが、人の手が加わらなくとも、その成立の過程で風水害、火災、生物害などの影響を受けていることは珍しくない。天然林のうちでも、古くから人の手が加わらず、近年重大な災害も受けていない極相の森林を原生林という。また、一度人手で伐採されたが、そのあと天然に更新してできた新生林を天然生林という。このように、森林の発生・生育の過程を自然に任せている森林を総称して自然林ということがあり、造成・保育に人手をかけた人工林に対比して用いられるが、自然林ということばは定着した用語ではない。したがって、自然林に対しては、人工植栽による人工林以外の森林の総称といった漠然としたとらえ方がよいであろう。2007年(平成19)の統計によれば、日本の人工林以外の森林は1475万ヘクタール、全森林面積の59%。ちなみに1954年(昭和29)のそれは68%、1981年は55%(1399万ヘクタール)、1995年は59%(1475万ヘクタール)であった。
[只木良也]