精選版 日本国語大辞典 「舐犢の愛」の意味・読み・例文・類語 しとく【舐犢】 の 愛(あい) ( 親牛が子牛をなめて愛するところから ) 親が子を深くかわいがりすぎること。溺愛すること。[初出の実例]「舐犢の愛といふ言葉があるが、それはお前のやうなのを言ふのだ」(出典:都会の憂鬱(1923)〈佐藤春夫〉)[その他の文献]〔後漢書‐楊彪伝〕 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
故事成語を知る辞典 「舐犢の愛」の解説 舐犢の愛 親が子をかわいがりすぎることのたとえ。 [使用例] 世間体が悪いなどと思って私に内緒で金をやったりなどしてはならん。舐犢の愛という言葉があるが、それはお前のようなのを言うのだ[佐藤春夫*都会の憂鬱|1923] [由来] 「後漢書―楊よう彪ひょう伝」に載っている話から。三世紀、後漢王朝末期の中国でのこと。魏ぎの国の君主、曹操そうそうは、楊よう脩しゅうという人物の才能を高く評価していましたが、とある理由から、彼を処刑してしまいました。その後、楊脩の父、楊彪に会ったとき、曹操が、「かなり瘦せたな」と声を掛けると、楊彪は、「恥ずかしながら将来を見通す知恵がなく、『老牛舐犢の愛(年老いた母牛がわが子を舐なめてやるのと同じような愛情)』を抱いていたものですから」と答えた、ということです。この話では、親の子に対する愛情を好意的にとらえていますが、のちに、マイナスのニュアンスで使われるようになりました。なお、「犢」は、子牛を表す漢字です。 [解説] このときの楊彪の答えからは、「先見の明」という故事成語も生まれています。 出典 故事成語を知る辞典故事成語を知る辞典について 情報