航空ショー(読み)こうくうショー(英語表記)air show

改訂新版 世界大百科事典 「航空ショー」の意味・わかりやすい解説

航空ショー (こうくうショー)
air show

航空機の展示を中心として行われる催しの総称で,メーカーの主催する見本市から,示威を目的とする軍事ショー啓蒙・教育のための展示会,アマチュアグループなどのレジャー的行事にいたるまでさまざまなものがある。このうちもっとも大規模なものはメーカーの催す工業見本市ショーで,定期的に開催される本格的なものとしてはフランス(パリのル・ブールジェ空港西暦の奇数年に開催),イギリス(ロンドンのファーンボロ飛行場,偶数年),ドイツ(ハノーファー空港,偶数年),イタリア(トリノ空港,偶数年),日本(幕張不定期)などがあり,なかでもパリとロンドン航空ショーは例年世界各国から数百社が参加し,機体,エンジン,宇宙機器から微細な部品にいたるまであらゆる分野にわたって室内・野外展示,飛行ディスプレーを総合的に行う世界最大の航空ショーとして知られている。アメリカではヘリコプターおよびビジネス機関係だけの見本市が毎年開かれるが総合的なショーはない。これら工業見本市ショーの内容は世界の経済・軍事情勢によって大きく影響される。かつて1950年代から70年代にかけて各国のショーは隆盛をきわめたが,その後需要低迷と新型機開発の減少および展示経費高騰などの理由によって有力メーカーの中にも参加を取りやめるところが出るなど,80年代に入って一時低迷したが,近年ふたたび隆盛に向かっている。このほか,いわゆる航空ショーの範疇はんちゆう)には入らないが,メーカーや業界団体の催す小規模な展示会が各地で頻繁に行われている。軍事航空ショーはおもな国々では大なり小なり年中行事として催され,国防力誇示の手段ならびに納税者への説明として各国とも力を入れている。例年5月にアメリカ各地で開かれる米三軍統合記念日のショーなどがその代表的なものである。ロシア(旧ソ連)でもかつては数年ごとにモスクワ近郊の空軍基地でこの種のショーが開かれ,その際多くの未発表新型機が一挙に公開されるのが習わしであったが,近年は工業見本市のショーとなっている。日本の自衛隊では航空部隊だけの統一的なショーはなく自衛隊記念日パレード民間のショーに部分的に参加するだけである。以上のほかにも小型機やヘリコプターなどを集めて行われるエアフェスティバルとか,エアレース,気球大会,アマチュアが自作航空機を持ち寄る催し,古典機のショーなど多彩な民間行事が世界各地で見られ,日本でも一部の空港が催す空港祭などがある。
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