船おろし(読み)ふなおろし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「船おろし」の意味・わかりやすい解説

船おろし
ふなおろし

小型の漁船などの進水式のこと。船おろしの儀礼には、全国的にほぼ共通する習俗がうかがえ、普通は儀礼の前日までに船大工が船霊(ふなだま)様の御神体を船に納め、祝い込めておく。当日は、まず船主などが船霊様に御神酒(おみき)を供え、神主祝詞(のりと)をあげたあと船を港に漕(こ)ぎ出す。この試運転のときには、船を左右のいずれかに3回りさせ、ときには船を覆してしまう(こけら落し)。またこの儀礼で特徴的なことは、普段漁師は船に女を乗せることを嫌うが、試運転のときに限って船主や船頭の妻や娘を船に乗せ、故意に海に突き落としたり、頭から海水を浴びさせたりすることである。普段禁忌としている行為を船おろしのときに限ってあえて犯すわけだが、こうした習俗は、新造船に対して供犠を供えた習慣の残存形態ではないかと考えられている。船おろしの儀礼には、陸上における家屋新築の際の儀礼(棟上げ式)と類似する要素が多くみられる。

[野口武徳]

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