精選版 日本国語大辞典 「艷書合」の意味・読み・例文・類語
えんしょ‐あわせ‥あはせ【艷書合】
- 〘 名詞 〙 物合わせの一種。左右二組に分かれて、恋文や恋の歌を出し合って競い、優劣を判じて勝負を決める遊戯。懸想文(けそうぶみ)合わせ。
- [初出の実例]「堀河院御時艷書合によめる」(出典:金葉和歌集(1124‐27)恋上・四一五・詞書)
艷書合の語誌
( 1 )康和四年(一一〇二)に堀河天皇が催したものが著名。これは懸想文に用いる美しい料紙に書かれた恋歌の贈答を中心とするもので、男(廷臣)から女(女房)へ贈った歌とそれに対する女の返歌一〇組、逆に女から男への贈歌とそれに対する男の返歌一〇組、短い懸想文ふうの語句を伴った、男性による創作的な恋歌八首の三部分から成る。
( 2 )無判で、歌合の形式を整えていないが、問答歌合に近い性格を持つために、歌合に準じて「金葉集‐恋上」以下「艷書合」と通称している。「けさうぶみあはせ」と呼ぶ例もある。後世、これに艷書文例が付加され、恋文の模範文例集として用いられた。