芝ヶ原古墳(読み)しばがはらこふん

国指定史跡ガイド 「芝ヶ原古墳」の解説

しばがはらこふん【芝ヶ原古墳】


京都府城陽(じょうよう)市寺田大谷にある古墳。市の北部に位置し、5世紀代を中心として築造された山城最大の前方後円墳がある久津川(くつかわ)の古墳群を形成している。久津川車塚古墳の約500m南から東にかけては13基の古墳が分布し、芝ヶ原古墳群とも呼ばれるが、1989年(平成1)に国の史跡に指定された芝ヶ原12号墳は、墳丘の平面形は南北21m、東西19mの方形部南辺に突出部のある前方後方墳である。突出部の大半は削られているが、くびれ部の幅は11.6mと推測され、突出部は長さ約3.5mとなる。墳丘は自然地形の低い北側では地山を削って裾とし、東は溝によって区画されている。墳丘盛り土の厚さは現状で2m残っている。内部主体は墓坑内に組み合わせ式木棺を直葬するもので、木棺は長さ3m、幅0.8mであり、墓坑上面には礫(れき)が敷かれて、その中から壺や高杯(たかつき)などの供献(きょうけん)土器が出土した。棺の北木口付近からは、四獣形鏡1面、銅釧(どうくしろ)2個、硬玉(こうぎょく)製勾玉(まがたま)8個、碧玉(へきぎょく)製管玉(くだたま)187個、ガラス製小玉1276個などが出土している。礫敷から出土した土器は、壺には二重口縁があり、口縁部に波状文や横線文、円形浮文をほどこし、体部には波状文と簾状(れんじょう)文や横線文と山形文をほどこした「庄内式」で、古い様相のものである。銅釧は、腕輪としての丸い輪の部分に放射状に72本の筋をつけて筋の先端は1本間隔で突起状になっており、銅釧の筋と周縁形態は古い形態の特徴をよく留めている。このように芝ヶ原12号墳は前方後方形の出現期の古墳であり、副葬品として外縁に突起のある銅釧が出土したことに特徴がある。1号墳から9号墳までは2基の前方後円墳と7基の円墳からなり、現状のまま保存されている。10号墳と11号墳は造り出しのある大型円墳で粘土槨(ねんどかく)があり、11号墳からは三角縁神獣鏡(さんかくぶちしんじゅうきょう)が出土していて、これらは記録保存の措置が取られている。13号墳は方墳で現状のまま保存されている。JR奈良線城陽駅から徒歩約15分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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